「最近、笑っていますか?」人生後半を元気に生きるための笑いの効果

「最近、大笑いしたのはいつですか?」

この質問をされて、すぐに答えられる人はどれくらいいるでしょうか。

仕事に追われる。
将来のお金が気になる。
健康診断の数値が少しずつ悪くなる。
親のこと、自分自身の老後のことも考えなければならない。

特に人生の後半戦に入ると、私たちは「笑う理由」よりも「心配する理由」を見つけるのが上手になってしまうのかもしれません。

しかし、大平哲也著『1日1回!大笑い健康医学-血圧・糖尿・うつ・認知症に効く!』を読んで、改めて強く感じたことがあります。

それは、

笑いは、特別な才能ではない。健康のために自分で選び、増やしていくことのできる「行動」なのだ。

ということです。

「面白いことがあったら笑う」

私たちは、そう考えています。

しかし、本書から見えてくるのは、少し違った順番です。

笑うから楽しくなる。
笑うからストレスが和らぐ。
笑うから人とつながる。
そして、笑う習慣があるから、人生そのものが少しずつ明るくなっていく。

つまり、笑いを「結果」として待つのではなく、「行動」として先に起こすことができるのです。

今回は、本書を読んで特に心に残った「笑いの力」について考えながら、忙しい毎日のなかで、私たちはどうすればもっと笑って生きられるのかを考えてみたいと思います。


笑いは、ただ楽しいだけではない

笑いというと、どこか軽く考えてしまいがちです。

「笑っていれば何とかなる」

そんな言葉には、少し精神論のような印象もあります。

しかし、本書で紹介されている笑いの働きを見ると、笑いは単なる気分転換ではありません。

大きく、

  • 運動効果
  • リラックス効果
  • ストレス解消効果
  • 人とのつながりを生み出す効果

といった複数の側面があります。

ここで大切なのは、笑いが「心」にだけ作用するものではなく、身体、人間関係、そして日々の行動そのものに影響を与える可能性があるという点です。

健康のために何かを始めようとすると、私たちはすぐに難しく考えます。

運動をしなければならない。
食生活を改善しなければならない。
睡眠時間を確保しなければならない。
健康診断の数値を改善しなければならない。

もちろん、どれも大切です。

しかし、その前にできることがあります。

今日、一度でも声を出して笑う。

これは、ほとんどお金がかかりません。

特別な道具も必要ありません。

そして、年齢も関係ありません。

笑いは、誰にでも開かれた健康習慣なのです。


「笑顔」と「笑い」は違う

本書を読んで興味深かったのが、「笑い」と「笑顔」は同じではないということです。

笑い、つまりラフターには「顔」と「声」があります。

一方、笑顔は、必ずしも声を伴いません。

もちろん、笑顔にも大きな価値があります。

相手に安心感を与える。
人間関係を円滑にする。
自分自身の気持ちを前向きにする。

しかし、「ハハハ」と声を出して笑うことには、笑顔とはまた違った身体的な動きがあります。

考えてみれば、大笑いした後には少し疲れることがあります。

お腹が痛くなるほど笑った経験がある人もいるでしょう。

それだけ、笑うという行為には身体全体が関わっています。

顔の筋肉が動く。

呼吸が変わる。

声が出る。

腹筋まで使われる。

普段、デスクワーク中心の生活をしている人にとっては、意外にも「大きく笑う」という行為そのものが、身体に刺激を与える時間になっているのかもしれません。

笑いは、頭の中だけで起きている現象ではありません。

全身を使った行動なのです。


ストレスを「なくす」のではなく、笑いを増やす

現代社会において、ストレスを完全になくすことは難しいでしょう。

仕事をすればストレスがある。

人間関係にもストレスがある。

家庭にも、将来にも、不安があります。

特に50代以降になると、新しい種類のストレスが増えていきます。

仕事では、役職定年や再雇用、キャリアの変化。

家庭では、子どもの独立や親の介護。

自分自身についても、健康や老後資金への不安。

「ストレスをなくそう」

と考えても、現実的には難しい。

そこで、本書の考え方が非常に興味深く感じられます。

悪いストレスを減らすだけではなく、

笑い、生きがい、人とのつながりといったポジティブな要素を増やしていく。

この発想です。

これは、人生にも通じる考え方ではないでしょうか。

嫌なことをゼロにすることはできません。

しかし、楽しいことを増やすことはできます。

不安を完全になくすことは難しい。

しかし、安心できる人と話す時間は増やせます。

仕事をすべて辞めることはできなくても、好きな趣味を始めることはできるかもしれません。

つまり、人生を良くする方法は、

マイナスを減らすことだけではない。
プラスを増やすことでも、人生全体のバランスは変わる。

ということです。

笑いは、その「プラス」を増やす、もっとも身近な方法の一つなのだと思います。


笑うと、頭の中が「空っぽ」になる

私が特に印象に残ったのが、笑いとストレスの関係です。

私たちは、ストレスを感じているとき、頭の中で同じことを何度も考えています。

「あのとき、あんなことを言わなければよかった」

「この先、どうなるのだろう」

「失敗したらどうしよう」

「なぜ、あの人はあんなことをするのだろう」

過去への後悔。

未来への不安。

他人への怒り。

頭の中では、同じ思考がぐるぐると回り続けます。

ところが、大笑いしている瞬間、私たちは別のことを考えていません。

「ハハハ!」

と笑っている間、将来の年金について深刻に悩むことは難しい。

仕事の失敗を反省し続けることも難しい。

笑っている瞬間だけは、頭の中が一度「空っぽ」になる。

本書では、笑いによって脳内の状態が変化し、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの分泌にも影響を与えるという仕組みが紹介されています。

重要なのは、難しい医学的な仕組みをすべて理解することではありません。

私たち自身の経験からもわかることがあります。

悩みを抱えていたとしても、心の底から笑った瞬間、その悩みから一時的に離れることができる。

それだけでも、十分に価値があるのではないでしょうか。


「面白いから笑う」だけではない

さらに興味深いのが、

面白いと思っているかどうかにかかわらず、「笑う」「笑顔をつくる」という行為そのものが、身体に良い影響を与える可能性がある

という考え方です。

これは、私たちの常識とは少し逆です。

普通は、

面白い

楽しい

笑う

と考えます。

しかし、順番を逆にしてみる。

笑う

気分が変わる

ポジティブな感覚が生まれる

ということもある。

これは、人生の行動にもよく似ています。

「やる気が出たら運動しよう」

では、なかなか運動できません。

しかし、

「とりあえず靴を履いて外に出る」

と、少しずつ身体が動き始めることがあります。

「気分が良くなったら人に会おう」

ではなく、

「とりあえず人に会ってみる」

ことで、気分が変わることもあります。

笑いも同じです。

楽しいから笑うだけではない。
笑うから楽しくなることもある。

この順番の逆転を知っているだけで、人生の選択肢は増えるのではないでしょうか。


笑いは「感情」ではなく「行動」である

本書のなかで、私がもっとも重要だと感じた言葉があります。

それは、

「笑いは感情ではなく行動」である。

という考え方です。

これは、とても力強い言葉です。

感情は、自分では完全にコントロールできません。

今日は楽しい。

明日は気分が落ち込む。

嫌な出来事があれば、不機嫌になる。

人間ですから、感情は揺れます。

しかし、行動は選択できます。

もちろん、どんなときでも無理に笑えばいいという話ではありません。

悲しいときは悲しんでもいい。

つらいときは、誰かに助けを求めてもいい。

それでも、

「今日は一度も笑っていないな」

と気づいたとき、

好きな漫才を見る。

家族と話す。

友人に電話する。

昔好きだったコメディーを見る。

少しくだらない動画を見てみる。

そんな行動を、自分で選ぶことはできます。

つまり、笑いを待つ必要はありません。

自分から笑いに近づいていくことができる。

これは、年齢を重ねるほど大切な考え方になるように思います。

若い頃は、自然に笑う機会がありました。

学校。

友人。

飲み会。

恋愛。

新しい経験。

しかし、年齢を重ねると、生活がパターン化していきます。

会社と家の往復。

決まった人間関係。

決まったテレビ番組。

決まった休日の過ごし方。

何もしなければ、笑う機会も減っていくのかもしれません。

だからこそ、

笑いを偶然に任せない。

「笑うための行動」を生活のなかに組み込む。

それが、これからの健康習慣になるのではないでしょうか。


「しゃべるほど笑う」──会話が健康をつくる

本書では、笑いの量はおしゃべりの量によって決まるとも紹介されています。

確かに、一人で黙って生活していると、笑う機会は少なくなります。

人と話す。

相手の話を聞く。

昔話をする。

ちょっとした失敗談を笑い話にする。

何気ない会話のなかで、笑いは生まれます。

ここで重要なのは、「面白い人にならなければならない」ということではありません。

お笑い芸人のように話す必要はない。

上手な話をする必要もない。

ただ、

人と話す。

それだけでいいのです。

「最近どう?」

「元気にしている?」

「そういえば、こんなことがあってね」

こうした何気ない会話が、心のなかに溜まっているものを外に出すきっかけになります。

そして、ときには笑いにつながります。

大切なのは、感情をため込まないこと。

困ったときには、人に相談すること。

このシンプルな行動が、結果として自分自身を守ることにつながるのだと思います。


年齢を重ねるほど、「笑う理由」をつくる

若い頃は、笑いが自然に訪れます。

しかし、人生経験を重ねると、人は少しずつ「正しく」なっていきます。

失敗しないようにする。

恥をかかないようにする。

無駄なことをしない。

常識的に振る舞う。

しかし、少し皮肉なことに、

笑いは、ときに「無駄」や「失敗」や「予定外」から生まれます。

予定どおりにいかなかった。

少し失敗した。

勘違いをした。

でも、後から振り返ると笑えてしまう。

人生にも、そんな場面があります。

その瞬間は最悪だと思った出来事が、数年後には笑い話になっている。

つまり、笑いとは「出来事そのもの」ではなく、出来事に対する見方によって生まれることもあります。

だからこそ、年齢を重ねた私たちには、若い頃とは違った笑い方があるのかもしれません。

人生の経験があるからこそ、

「あのときは大変だったよね」

と笑える。

失敗を知っているからこそ、人の失敗にも寛容になれる。

完璧ではない自分を認められるからこそ、肩の力を抜ける。

笑うことは、自分を許すことでもある。

私はそう感じます。


今日からできる「1日1回、大笑い」の習慣

では、具体的にどうすれば笑いを増やせるのでしょうか。

難しく考える必要はありません。

1.「笑えるものリスト」をつくる

好きな漫才。

落語。

コメディー映画。

YouTubeの動画。

昔のバラエティー番組。

自分が確実に笑えるものを、あらかじめ決めておく。

ストレスが溜まってから探すのではなく、

「これを見ると笑える」

という自分専用のリストを持っておくのです。


2.誰かと話す時間を意識的につくる

笑いのために「おしゃべりの時間」を予定に入れてみる。

友人に電話する。

家族と食事をする。

職場で少し雑談する。

大切なのは、用事だけで終わらせないことです。

「連絡事項」だけでは、会話はすぐに終わります。

たまには、役に立たない話をする。

意味のない雑談をする。

人生には、そういう時間も必要なのです。


3.自分の失敗を「ネタ」にしてみる

失敗すると、私たちは自分を責めます。

しかし、少し時間が経ったら、こう考えてみる。

「これはいつか笑い話になるだろうか?」

失敗を正当化する必要はありません。

反省も必要です。

ただし、失敗を一生抱え続ける必要もありません。

自分の失敗を少し笑えるようになることは、自分自身を苦しめすぎないための知恵でもあります。


4.朝、鏡の前で笑顔をつくる

朝から大笑いするのは難しいでしょう。

そこで、まずは笑顔から始める。

鏡を見て、少し口角を上げる。

「今日もなんとかなる」

と声に出してみる。

最初は、少し恥ずかしいかもしれません。

しかし、笑いが行動なら、行動は練習できます。

そして、習慣になります。


人生の後半戦こそ、「笑う力」が必要になる

若い頃は、未来に多くの可能性があります。

しかし、年齢を重ねると、できなくなることにも目が向きやすくなります。

体力が落ちた。

記憶力が落ちた。

仕事での立場が変わった。

若い人には勝てない。

そんなふうに、「失ったもの」を数え始めてしまうことがあります。

しかし、人生には年齢とともに増えるものもあります。

経験。

人とのつながり。

思い出。

そして、自分自身を少し客観的に見られる余裕です。

若い頃の自分なら許せなかったことも、

「まあ、そんなこともある」

と思えるようになる。

この余裕こそが、笑いにつながるのかもしれません。

もちろん、年齢を重ねれば悩みがなくなるわけではありません。

むしろ、悩みの種類は変わっていきます。

だからこそ、笑うことが必要になる。

笑いは、問題を直接解決してくれる魔法ではありません。

しかし、

問題に押しつぶされないための力にはなってくれる。

私は、そう思います。


よく笑うから、性格まで変わっていく

私たちは、

「明るい性格だからよく笑う」

と思っています。

しかし、本書から得られるもう一つの視点は、その逆です。

よく笑うから、少しずつ明るくなっていく。

性格とは、生まれつき決まっているものだけではないのかもしれません。

毎日どんな行動を選ぶか。

誰と会うか。

何を見るか。

何を話すか。

どんな言葉を口にするか。

その積み重ねによって、自分自身の感じ方も少しずつ変わっていく。

「私はもともと暗い性格だから」

「最近は楽しいことがないから」

そう決めつける必要はありません。

まずは、笑う。

たったそれだけの行動が、気分を変え、習慣を変え、人生の見え方まで変えていく可能性があります。


まとめ|「笑える人生」を待つのではなく、自分でつくる

『1日1回!大笑い健康医学』を読んで、私が最も強く感じたのは、

笑いを人生の「おまけ」にしてはいけない

ということです。

仕事がうまくいったら笑う。

お金に余裕ができたら楽しむ。

悩みがなくなったら明るく生きる。

そんなふうに考えていると、いつまでたっても笑うタイミングは訪れないかもしれません。

人生には、いつも何かしらの問題があります。

だからこそ、

問題がなくなってから笑うのではなく、
問題を抱えながらでも笑う。

ストレスを完全になくそうとするのではなく、
笑いや生きがいを増やしていく。

面白いことが起きるのを待つのではなく、
自分から笑える場所へ出かけていく。

誰かが自分を元気にしてくれるのを待つのではなく、
自分で「笑う」という行動を選ぶ。

笑いは感情ではなく、行動です。

だからこそ、今日から始めることができます。

大げさな目標はいりません。

健康のために、人生を楽しむために。

まずは今日、

1日1回、声を出して笑ってみる。

好きな人と話す。

昔の思い出を振り返る。

くだらないことで笑う。

自分の失敗を少しだけ笑ってみる。

それでいいのだと思います。

私たちは、人生を真面目に生きすぎて、ときどき「笑うこと」まで後回しにしてしまいます。

しかし、人生はいつか終わります。

だからこそ、健康になってから笑うのではなく、成功してから笑うのでもなく、

今日を少しでも元気に生きるために、今日笑う。

それが、人生後半を豊かに、そして自分らしく生きるための、とてもシンプルで強力な健康習慣なのではないでしょうか。

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