noteは「Xで反応が良かったポストを、清書しておいておくアーカイブ」
藤原華さんが書かれた『noteで書籍化する方法』で気になった考え方です。
この発想は、とても合理的です。
いきなりnoteで完成度の高い記事を書こうとすると、どうしても肩に力が入ります。
「何を書こう」
「どんな構成にしよう」
「読まれるタイトルは?」
「SEOは?」
そんなことを考えているうちに、書き始めることそのものが面倒になってしまう。
そこで、まず短い文章を書く。
Xで、
・共感される文章
・悩みを解決できる文章
・心を動かせる文章
を発信してみる。
そして、反応のあったテーマを深掘りして、noteにまとめていく。
これは、文章を書く側にとっても大きなメリットがあります。
「何が読者に響くのか」を、実際の反応から学べるからです。
頭の中だけで「これはきっと読まれる」と考えるのではなく、実際に世の中へ投げてみる。
反応を見る。
修正する。
深掘りする。
そして記事にする。
つまり、文章そのものを「実験」できるのです。
文章とは「文字の羅列」ではない
本書には、非常に厳しく、しかし本質を突いた言葉があります。
読者の感情を動かせないなら、それは文章ではなく、ただの文字の羅列である。
これはブログを書く人にとって、忘れてはいけない視点だと思います。
私たちは文章を書くとき、どうしても「正しく伝える」ことを考えます。
しかし、読者が文章を読む理由は、情報を受け取ることだけではありません。
「わかる」
「そうそう」
「自分も同じだった」
「これはやってみたい」
「そんな考え方があるのか」
「ちょっと勇気が出た」
こうした感情が動くからこそ、読者は最後まで読んでくれます。
だから文章には、情報だけでなく、感情の入口が必要なのです。
例えば、
「50代から副業を始めることは可能です」
という文章と、
「定年まであと数年。でも、このまま会社だけに収入を頼っていていいのだろうか――」
という文章では、読者の受け取り方が違います。
後者には「自分のことかもしれない」という感情が生まれます。
文章は、情報を運ぶ乗り物です。
しかし、その乗り物を動かすエンジンになるのが感情なのです。
「自分にしか書けないこと」を探す
本書で特に心に残ったのが、
「自分にしか書けない文章とは、臓腑の底から湧き上がってくる魂の絶叫」
という考え方です。
かなり強い表現です。
しかし、考えてみれば納得できます。
誰でも書ける情報を、誰でも書ける言葉でまとめても、そこには大きな差が生まれません。
一方、自分自身が経験したことは違います。
失敗したこと。
恥ずかしかったこと。
悔しかったこと。
遠回りしたこと。
そこから学んだこと。
何度も挑戦して、ようやく気づいたこと。
こうしたものは、検索しても出てきません。
なぜなら、それは自分の人生の中でしか生まれない情報だからです。
50代、60代には、若い人にはない強みがあります。
それは「長く生きてきたこと」です。
会社員として働いてきた時間。
人間関係で悩んだ経験。
仕事で失敗した経験。
資格取得に挑戦した経験。
家族との出来事。
転職や異動。
定年への不安。
老後への準備。
副業への挑戦。
こうした一つひとつは、本人にとっては「当たり前の経験」かもしれません。
しかし、他人から見れば、それは貴重な情報なのです。
自分にとって普通の経験ほど、他人にとっては価値がある。
これは、これから文章を書いていくうえで大切にしたい視点です。
「たった一人」に向けて書く
もう一つ重要なのが、
「たった一人に向けて、伝えたいことを本気で伝える」
という姿勢です。
ブログを書くとき、
「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」
と思うのは当然です。
しかし、「みんな」に向けて書こうとすると、文章はぼんやりしてしまいます。
20代にも、30代にも、40代にも、50代にも役立つように。
会社員にも、経営者にも、フリーランスにも役立つように。
初心者にも、経験者にも役立つように。
そうすると、誰にも深く刺さらない文章になってしまいます。
だから、まず一人を想像する。
「3年後に定年を迎えるけれど、これから何をすればいいのかわからない人」
「資格を持っているけれど、副業にどう活かせばいいかわからない人」
「ブログを書いているけれど、読者が増えない人」
そんな一人を思い浮かべる。
そして、
「この人にどうしても伝えたい」
という気持ちで書く。
そのほうが、結果的に多くの人に届く文章になるのです。
タイトルは「読むメリット」を伝える
ブログで最初に読者の目に入るのは本文ではありません。
タイトルです。
どれだけ素晴らしい本文を書いても、タイトルで興味を持ってもらえなければ読まれません。
本書では、
「読むとどんなメリットがあるのか」をタイトルにする
という考え方が示されています。
これは非常に重要です。
例えば、
「noteで書籍化する方法を読んで学んだこと」
では、読むメリットがよくわかりません。
一方、
「noteから書籍化へ!読まれる文章をつくる5つの考え方」
なら、「この記事を読むと何がわかるのか」が伝わります。
タイトルは、記事の看板です。
ただし、本書が避けるべきタイトルとして挙げる、
・読む理由がないタイトル
・長すぎて見切れるタイトル
・本文の単なる要約になっているタイトル
には注意したいところです。
タイトルにすべてを説明する必要はありません。
読者が「ちょっと読んでみたい」と思う余白を残す。
これもタイトルの重要な役割です。
「尖った文章」を恐れない
本を書く際のポイントとして、本書では、
強弱をつける
思い切り尖った文章を書く
自信満々で書く
という3つが挙げられています。
ここでいう「尖る」とは、誰かを攻撃することではありません。
自分の意見を曖昧にしないことです。
「私はこう思います」
「私の場合はこうでした」
「これはやめたほうがいいと思います」
「私はこういう生き方を選びたい」
こうした自分の立場を明確にする。
文章を書いていると、批判されるのが怖くなります。
「こんなことを書いたら反対されるかもしれない」
「間違っていたら恥ずかしい」
「偉そうだと思われたらどうしよう」
しかし、すべての人に嫌われない文章は、すべての人の心にも深く刺さりません。
誰かには「違う」と思われる。
でも、別の誰かには「まさに自分が思っていたことだ」と思ってもらえる。
そのくらいの強さがあってもいい。
文章を書くとは、自分の考えを世の中に置くことです。
だからこそ、自分の言葉に責任を持って書く。
それが「尖った文章」なのだと思います。
読まれない文章には「危機感」が足りない
「読まれない文章には、危機感が足りない」
この指摘も非常に重要です。
人は「今のままでいい」と思っているとき、なかなか行動しません。
逆に、
「このままだとまずい」
「何とかしなければ」
と思った瞬間に、情報を探し始めます。
例えば、
「50代から副業を始める方法」
というテーマより、
「定年してから副業を始めればいい、と思っていませんか?」
のほうが、読者の心を動かす可能性があります。
なぜなら、「今やらなくても大丈夫」という安心を揺さぶるからです。
ただし、ここで大切なのは、いたずらに不安を煽ることではありません。
危機感を提示したら、その先に必ず「解決できる未来」を示す。
つまり、
危機感→希望→具体策
という流れです。
「このままだと困るかもしれない」
↓
「でも、今から準備すれば変えられる」
↓
「では、何をすればいいのか」
この流れがあれば、読者は記事を読む理由を持てます。
「自分の書きたいこと」と「読者が読みたいこと」を重ねる
岸本葉子さんの言葉として紹介されている、
「自分の書きたいこと」を「他人が読みたくなるように」書く
という言葉は、今回の記事の核心だと思います。
「自分の書きたいこと」だけでは、独りよがりになってしまう。
しかし、「他人が読みたいこと」だけを追いかけると、自分の言葉ではなくなってしまう。
だから、その二つを重ねる。
例えば、
「私は資格を活かした副業について書きたい」
だけでは、自分のテーマです。
そこで、
「資格はあるけれど、定年後の収入が不安な人は何を知りたいだろう?」
と考える。
すると、
「資格をどう収入につなげるか」
「会社員のまま副業できるのか」
「何から始めればいいのか」
「失敗したらどうするのか」
という読者のテーマが見えてきます。
ここに自分の経験を重ねる。
すると、
自分のテーマが、読者の問題解決に変わります。
これが「書くことを仕事につなげる」ための重要なポイントなのではないでしょうか。
書籍化のヒントは「三つの重なり」にある
本書で示されるnoteから書籍化する手順も、とても興味深いものです。
まず、
書けること
書きたいこと
書いてほしいと望まれること
この三つが重なる場所を探す。
これは、ブログを書く場合にもそのまま使える考え方です。
「書けること」は、自分の経験や知識。
「書きたいこと」は、自分の情熱。
「書いてほしいこと」は、市場や読者のニーズ。
この三つが重なるテーマなら、継続しやすく、読者にも求められやすい。
そして、そのテーマについて、
「あと少し肉付けすれば、一冊の本にできる」
と思ってもらえるくらいのnoteを書く。
つまり、noteは単なる日記ではなく、自分の専門性や経験を編集者に見せるポートフォリオにもなり得るのです。
記事を書く基本構造は「悩み→未来→解決策」
書籍化につながるnoteを書く際の構成として、
悩みの提示
↓
悩みを解決した未来の提示
↓
悩みの解決策
という順番が示されています。
これは非常にシンプルですが、強力です。
例えば「50代から副業を始める」というテーマなら、
「定年後の収入が不安」
という悩みを提示する。
次に、
「会社の給料だけに依存しない収入源を持てれば、定年後の選択肢が増える」
という未来を見せる。
そして、
「では、何を使って副業を始めればいいのか」
という解決策につなげる。
読者は「自分の悩みがどう変わるのか」を知りたいのです。
だから、最初から知識を並べるのではなく、まず読者の現在地を言葉にする。
「あなたの悩みは、これではありませんか?」
と問いかける。
そのうえで、
「こうなれる可能性があります」
と未来を見せる。
そして、
「そのためには、こうしてください」
と具体策を渡す。
この構造は、ブログにもnoteにも非常に使いやすいでしょう。
有料記事で大切なのは「価格以上の価値」
noteで収益化を目指す場合、「有料にするのは申し訳ない」と考えてしまう人もいます。
しかし、本書の考え方は明快です。
有料であることが悪いのではなく、価格以上の価値を提供できないことが問題なのです。
これは大切な視点です。
例えば、自分が10年間かけて身につけた知識を、読者が3時間で理解できるように整理したとします。
そこには価値があります。
失敗を10回経験した人が、その失敗を整理して「この3つだけはやらないでください」と伝える。
そこにも価値があります。
読者が知りたいのは、情報量だけではありません。
自分の時間を節約できるか。
失敗を避けられるか。
次の一歩を踏み出せるか。
そこに価値があります。
仕事ができる人とは、「いかに相手の時間と労力を奪わないか」に気を配れる人だという本書の指摘ともつながります。
文章も同じです。
長々と書けば価値が高くなるわけではない。
読者が必要としているものを、必要な形で渡す。
それが「価値」なのだと思います。
「書くこと」が仕事につながるまで
ブログやnoteを始めたばかりの頃は、すぐに収益を期待してしまいます。
しかし、現実にはそう簡単ではありません。
最初は読まれない。
フォロワーも増えない。
売上もない。
「こんなことを続けて意味があるのだろうか」
と思うこともあるでしょう。
それでも、書き続けることで蓄積されるものがあります。
自分の考えが整理される。
経験が言語化される。
専門性が見えてくる。
読者との接点が生まれる。
「このテーマなら、この人」と認識される。
そして、その先に仕事の依頼や商品購入、相談、出版などが生まれる可能性があります。
つまり、
文章そのものが商品になる場合もあれば、文章が「信頼をつくる営業資産」になる場合もある。
ここが重要です。
ブログを書いていること自体が、将来の仕事につながる準備になるのです。
「いつかやる」は存在しない
本書の中で、特に心に残ったのが、この言葉です。
カレンダーを見てください。
日曜日はSunday。
月曜日はMonday。
そして土曜日はSaturday。
でも、
Someday――「いつか」という曜日は存在しません。
これは、非常に強烈です。
私たちは「いつか」という言葉を簡単に使います。
「いつか本を書きたい」
「いつかブログを始めたい」
「いつか副業をやりたい」
「いつか資格を活かしたい」
「いつか会社を辞めたい」
しかし、「いつか」はカレンダーにはありません。
あるのは今日と明日だけです。
だから、「いつか書こう」と思った文章は、今日一行だけでも書く。
「いつかnoteを始めよう」と思っているなら、今日アカウントをつくる。
「いつか本を書こう」と思っているなら、今日テーマを一つ決める。
大きな一歩でなくていい。
「いつか」を「今日」に変える。
それだけで人生は少し動き始めます。
50代からの「書く」は、これまでの人生を資産に変える
50代になると、「もう遅い」と感じる場面があります。
新しい仕事。
新しい資格。
副業。
ブログ。
SNS。
出版。
若い人のほうが有利なのではないか。
そんな気持ちになることもあります。
しかし、「書く」という活動には、年齢が必ずしも不利になるわけではありません。
むしろ、これまで生きてきた時間が、そのまま材料になります。
20代には20代の経験がある。
30代には30代の経験がある。
50代には50代にしか書けないことがある。
失敗したからこそ書ける。
遠回りしたからこそ書ける。
長く会社にいたからこそ見えるものがある。
管理職を経験したからこそわかることがある。
資格取得に苦労したからこそ伝えられることがある。
定年が見えてきたからこそ考えられることがある。
人生の経験は、過去のものではありません。
言葉にした瞬間、誰かの役に立つ「コンテンツ」になります。
今日から始める「書籍化につながる文章」の書き方
最後に、本書から学んだことを、今日からできる行動に落としてみます。
まず、自分に次の三つを問いかけてみる。
①自分は何が「書ける」のか
これまでの仕事、経験、資格、失敗、趣味、人間関係。
当たり前だと思っていることを書き出してみます。
②自分は何を「書きたい」のか
誰かに頼まれたからではなく、自分がどうしても伝えたいこと。
「これだけは言いたい」
というテーマを探します。
③誰かに「書いてほしい」と望まれていることは何か
読者が何に悩んでいるのか。
何を知りたいのか。
何を解決したいのか。
ここを考えます。
そして三つが重なる場所を探す。
そこに、自分の「書くテーマ」があります。
さらに、一つの記事を書くときは、
悩み→解決した未来→解決策
の順番を意識する。
タイトルには、
「この記事を読むと、何が得られるのか」
を入れる。
そして、最後に一つだけ覚えておきたいことがあります。
たった一人に向けて、本気で書く。
1000人に読まれることを最初から考えるのではなく、目の前の一人に、
「この人に、このことを伝えたい」
と思って書く。
その一人に届いた言葉が、別の誰かにも届いていく。
それが文章の力なのではないでしょうか。
おわりに――「いつか」ではなく、今日一行を書く
『noteで書籍化する方法』を読んで、私が最も強く感じたのは、書籍化そのものよりも、「自分の経験を言葉にして、誰かの役に立つ形に変える」ことの可能性でした。
noteを書く。
Xで発信する。
読者の反応を見る。
書き直す。
深掘りする。
また書く。
そうしているうちに、自分が何者なのかが少しずつ見えてくる。
そして、気がつけば、その文章が仕事や出版という新しい可能性につながっているかもしれません。
重要なのは、最初から完璧な文章を書くことではありません。
「自分には何もない」と思わないこと。
自分の経験を掘り起こすこと。
たった一人の読者を想像すること。
その人の悩みを考えること。
そして、自分にしか書けない言葉で書くこと。
50代からでも遅くありません。
むしろ、これまで積み重ねてきた人生があるからこそ、今しか書けない文章があります。
そして、「いつか本を書こう」と思っているなら、今日がその「いつか」です。
Somedayという曜日は、カレンダーにはありません。
あるのは、今日だけです。
だから、まず一行。
今日、一行を書いてみる。
その一行が、一本の記事になり、一本の記事が積み重なって、一冊の本になる。
そして、その一冊が、誰かの人生を少しだけ動かすかもしれない。
文章を書くということは、単に文字を並べることではありません。
自分の人生を言葉に変え、誰かの人生に手渡すこと。
そこに、「書く」ことの本当の価値があるのだと思います。