「どうして、あの人ばかりチャンスに恵まれるのだろう」
仕事をしていると、そんなことを感じる場面があります。
同じ会社に入ったのに、なぜか重要な仕事を任される人。
たいしたことをしているようには見えないのに、いつの間にか人脈を広げている人。
転職や副業を始めても、次々と良い出会いに恵まれる人。
一方で、自分は真面目に努力しているのに、なかなかチャンスが巡ってこない。
この違いはいったい何なのでしょうか。
もちろん、世の中には「運」という、自分では完全にコントロールできないものがあります。
しかし、運をただの偶然として片づけてしまうと、人生を変えるヒントを見失ってしまいます。
内田博史氏が書かれた『運とコネのつかみ方 あなたもお金持ちになれるキーワード「法則」「習慣」「成功体質」』を読んで、私が特に心に残ったのは、運は待つものではなく、運が入ってきやすい状態を自分でつくっていくものなのではないかということでした。
そして、もう一つ重要なのが「コネ」です。
ここでいうコネとは、誰かの力を利用して得をするという意味ではありません。
人との出会いを大切にし、相手から信頼され、「またこの人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる関係をつくることです。
つまり、
運をつかむ力=挑戦を続ける力×人との信頼関係
なのではないでしょうか。
特に、50代以降の人生では、この考え方が重要になります。
若いころのように、体力と時間を大量投入するだけでは勝負できません。
これまで積み上げてきた経験、人間関係、信用、専門性を組み合わせながら、小さなチャンスを何度も拾っていく。
そのためには、「運がいい人」の習慣を知ることが大きなヒントになります。
「日本に生まれたこと」を当たり前にしない
本書を読んで、最初に強く印象に残ったのが、
「まず、あなたはとても恵まれた環境の中にいることを認識してください」
という考え方です。
日本に生まれた。
それだけでも、世界全体から見れば大きな環境的アドバンテージを持っている。
普段の生活では、なかなか意識しません。
毎日会社へ行き、
仕事をして、
食事をして、
スマートフォンを使い、
インターネットで情報を集める。
それが「普通」になっているからです。
しかし、「普通」と思っていることの中に、
実は大きな恵まれが存在しています。
これは人生を前向きに考えるうえで、
とても重要な視点ではないでしょうか。
「自分には何もない」
「自分は恵まれていない」
「もう年齢的に遅い」
そんなふうに考えてしまうと、目の前にある可能性が見えなくなります。
逆に、
「すでに持っているものは何だろう?」
と考えてみる。
すると、見えてくるものがあります。
これまで働いてきた経験。
仕事で身につけた知識。
失敗した経験。
人との付き合い方。
業界についての知識。
資格。
家族や友人とのつながり。
長年培ってきた信用。
こうしたものは、本人にとっては「当たり前」でも、
他人から見れば価値のある資産です。
人生を変える第一歩は、新しいものを手に入れることではありません。
すでに持っているものの価値に気づくこと。
そこから始まるのだと思います。
「失敗=敗北」ではない
人生で最も怖いものの一つが、失敗です。
副業を始めようと思っても、
「失敗したらどうしよう」
転職を考えても、
「うまくいかなかったらどうしよう」
新しい仕事に挑戦しても、
「恥をかいたらどうしよう」
と考えてしまいます。
しかし、本書の中で心に残ったのが、
「敗北はあきらめた時に確定する」
という考え方です。
これは非常に重要です。
失敗した。
だから終わり。
そう考えてしまえば、失敗が敗北になります。
しかし、
「今回はうまくいかなかった」
「では、何を変えればいいのか」
と考えれば、失敗は次の挑戦の材料になります。
つまり、
失敗は結果ではなく、途中経過
なのです。
副業でも同じでしょう。
最初に書いたブログ記事が読まれない。
SNSで発信しても反応がない。
商品をつくっても売れない。
誰かに声をかけても断られる。
これらを「失敗」と考えることはできます。
しかし、
「どこに問題があったのか?」
「誰に届ければよかったのか?」
「伝え方を変えたらどうなるか?」
と考えれば、すべてがデータになります。
人生を長く考えるなら、失敗をゼロにするより、
失敗しても立ち上がれる状態をつくることのほうが重要なのです。
一発逆転を狙わない
ここで注意したいのが、「挑戦すること」と「無謀な賭け」は違うということです。
本書では、
「失敗を恐れてチャレンジをやめてしまうのは愚策ですが、一発逆転狙いのフルベットはもっと愚策」
という趣旨が述べられています。
これは、50代から新しいことを始める人にとって、特に重要な考え方だと思います。
人生を変えたい。
だから会社を辞める。
いきなり大きな事業を始める。
多額のお金を投資する。
未知の世界に全力で飛び込む。
こうした方法が絶対に悪いわけではありません。
しかし、失敗したときに再挑戦できないのであれば、リスクが大きすぎます。
大切なのは、
「何度でも挑戦できる余力を残しておく」
ことです。
たとえば副業なら、最初から月30万円を目指すのではなく、
月1万円。
月3万円。
月5万円。
というように、小さな成功を積み上げていく。
失敗しても生活が破綻しない範囲で試す。
うまくいったら少し広げる。
うまくいかなければ修正する。
この繰り返しです。
「成功するまで一発で当てる」のではなく、
「何度でも試せる人が、最後に当たりを引く」
という発想です。
これは、運を味方につけるうえでも非常に合理的な考え方だと思います。
「自分は運がいい」と言う人に運が集まる理由
本書で特に印象的だったのが、
「自分は運がいい」と普段から言っているか、いないか
という違いです。
もちろん、「運がいい」と言っただけで宝くじが当たるわけではありません。
しかし、「自分は運がいい」と考える人と、
「自分は運が悪い」と考える人では、
同じ出来事を経験しても、
その後の行動が変わります。
たとえば、仕事で失敗したとします。
「やっぱり自分は運が悪い」
と考える人は、そこで終わってしまうかもしれません。
一方、
「この程度の失敗で済んでよかった」
「いい経験になった」
「次はうまくできそうだ」
と考える人は、次の行動を始めます。
つまり、「運がいい」という言葉は、
単なる精神論ではなく、
出来事の解釈を変えるスイッチになるのです。
運がいい人は、チャンスを見つけるのが上手です。
なぜなら、目の前の出来事を「チャンスかもしれない」と見る習慣があるからです。
反対に、「どうせ無理」「自分には関係ない」と思っていると、
せっかくのチャンスが目の前を通り過ぎても気づきません。
運の差は、偶然の差だけではない。
「何をチャンスとして認識するか」の差でもある。
そう考えると、「自分は運がいい」と言ってみることには、意外に大きな意味があります。
「コネ」は人脈の数ではない
「コネ」という言葉には、少し悪いイメージがあります。
誰か有力者を知っている。
誰かに紹介してもらう。
特別扱いしてもらう。
しかし、本当に大切なコネは、そんなものではないでしょう。
本書を読んで私が感じた「コネ」とは、
「困ったときに、お互いに声をかけられる関係」
です。
そのためには、日々の小さな積み重ねが必要です。
挨拶をする。
約束を守る。
返信する。
感謝する。
相手の話を聞く。
教えてもらったことを実践する。
そして、何かをしてもらったら、お礼をする。
こうした行動は、一つひとつを見ると非常に小さい。
しかし、人間関係はこうした小さな行動によってつくられます。
「この人なら安心して紹介できる」
「この人なら一緒に仕事ができる」
「この人に相談してみよう」
そう思ってもらえることが、最大の人脈資産になります。
人の話を聞くときは「メモ帳」を使う
本書で紹介されている習慣の中でも、すぐに実践できるのが、
「人の話を聞くときはメモ帳を使う」
という方法です。
これは単純ですが、強力です。
人は、自分の話を真剣に聞いてもらえると嬉しいものです。
そして、メモを取っている姿を見ると、
「この人は自分の話を大切にしてくれている」
と感じます。
さらに、メモを取ることで、自分自身の理解も深まります。
特に50代以降になると、これまでの経験が増えている分、
「それは知っている」
「昔からそうだ」
と決めつけてしまう危険があります。
しかし、若い人から話を聞く。
異業種の人から話を聞く。
初めて会った人から話を聞く。
そのときにメモを取る。
すると、
「そんな考え方があるのか」
「その発想はなかった」
という新しい発見が生まれます。
メモ帳は、単なる記録道具ではありません。
新しい情報を受け入れるための姿勢そのもの
なのです。
「貸しはつくっても、借りはつくらない」
これも、人間関係を考えるうえで非常に興味深い言葉です。
もちろん、「人に頼ってはいけない」という意味ではありません。
誰かに助けてもらったら、感謝する。
お礼をする。
できる範囲で相手にも価値を返す。
その姿勢を持つということです。
人間関係では、損得だけを考えると長続きしません。
「あの人にはこれだけしてもらったから、こちらもこれだけ返さなければ」
という計算ばかりしていると、関係が疲れてしまいます。
一方で、
「この人に何かできることはないかな」
と考える人は、信頼を積み上げます。
これが「貸し」になるのです。
そして、相手から何かをしてもらったら、
「ありがとうございます」
「助かりました」
「教えていただいたことをやってみます」
と伝える。
こうした小さな感謝の積み重ねが、人間関係を強くします。
「ありがとう」を惜しまない
本書の中で、
「相手が与えてくれたものに対して、常に感謝をし、お礼を欠かさない」
という姿勢も強く印象に残りました。
これは簡単なようで、意外と難しいものです。
私たちは、何かをしてもらったときには感謝します。
しかし、それが何度も続くと、いつの間にか「当たり前」になってしまいます。
会社の同僚が助けてくれる。
家族が支えてくれる。
取引先が仕事を紹介してくれる。
知人が情報を教えてくれる。
最初は「ありがとう」と言っていたのに、いつの間にか言わなくなる。
人間関係が壊れるきっかけは、大きな裏切りだけではありません。
小さな「当たり前」の積み重ねでも壊れていきます。
だからこそ、意識して感謝する。
「ありがとうございます」
「助かりました」
「教えていただいてよかったです」
たった一言でいい。
この習慣は、誰でも今日から始められます。
50代からは「経験」が運を生み出す
50代になると、「もう若くない」と感じることがあります。
新しいことを始めるのは遅い。
転職は難しい。
副業を始めても若い人には勝てない。
そんな不安もあるでしょう。
しかし、見方を変えると、50代には若い人にはない武器があります。
それが、
経験です。
20代には20年分の経験しかありません。
30代には30年分。
50代には、それまで積み上げてきた仕事や人生の経験があります。
もちろん、経験が多ければ自動的に成功するわけではありません。
経験を「知っているだけ」で終わらせてはいけない。
大切なのは、
経験を価値に変換すること
です。
たとえば、
「営業を20年やってきた」
だけではなく、
「営業で失敗しないために、最初に何を確認すべきか知っている」
「新人がつまずくポイントを理解している」
「顧客との関係を長く維持する方法を知っている」
と具体化する。
そうすれば、経験が誰かの役に立つ知識になります。
さらに、それを文章にする。
人に教える。
相談に乗る。
サービスにする。
ここから、新しい仕事が生まれる可能性があります。
運をつかむ人は「行動量」が違う
運は、家で待っていてもなかなかやってきません。
もちろん、偶然の出来事はあります。
しかし、外に出る。
人と会う。
話を聞く。
情報を集める。
発信する。
小さく試す。
失敗する。
改善する。
また試す。
こうした行動の中で、偶然の出会いが生まれます。
つまり、
行動量が増えるほど、偶然に出会う確率も上がる。
これは非常にシンプルです。
副業を始めたいなら、いきなり完璧な商品をつくる必要はありません。
まず一人に話を聞いてみる。
一つの記事を書いてみる。
一つのサービスを試してみる。
一人の専門家に相談してみる。
一つのセミナーに参加してみる。
小さな行動で十分です。
そして、その小さな行動が次の行動につながります。
「運がいい人」とは、特別な人ではありません。
運に出会う場所まで、自分から歩いていく人
なのかもしれません。
50代からの「運とコネ」のつくり方
ここまでの内容を、実生活で実践するために、五つにまとめてみます。
1.「自分は運がいい」と言葉にする
まずは毎日一度、
「今日は運がよかった」
と考えてみる。
小さなことで構いません。
電車に間に合った。
いい情報を知った。
誰かと話せた。
雨が降る前に帰れた。
こうした小さな幸運を見つける習慣をつくります。
2.小さな挑戦を続ける
一発逆転を狙わない。
「失敗しても再挑戦できる範囲」で始める。
これが重要です。
ブログでも副業でも資格でも構いません。
小さく始め、小さく改善する。
そして、続ける。
3.人の話をメモする
人と会ったら、話の中から一つだけでもメモする。
「○○さんは、こういうことに困っている」
「この考え方は面白い」
「次回、これを試してみる」
そんな簡単なメモで構いません。
人との出会いを「記憶」から「資産」に変える習慣です。
4.感謝とお礼を言葉にする
「ありがとう」を惜しまない。
「助かりました」
「参考になりました」
「教えていただいたことをやってみます」
と言葉にする。
感謝は無料ですが、人間関係に与える効果は大きい。
5.「自分に何ができるか」を考える
人に何かを求める前に、
「自分は相手に何を提供できるだろう?」
と考えてみる。
情報でもいい。
紹介でもいい。
知識でもいい。
時間でもいい。
ちょっとした手伝いでもいい。
「この人の役に立ちたい」という姿勢から、信頼関係は始まります。
運は「偶然」ではなく「準備」の先にある
運について考えるとき、私たちはどうしても、
「運がいいか、悪いか」
という二択で考えてしまいます。
しかし、人生を長く振り返ってみると、運のよさそうな人には共通点があります。
挑戦している。
人と会っている。
話を聞いている。
感謝している。
失敗しても続けている。
そして、チャンスが来たときに動ける準備をしている。
つまり、
運そのものをコントロールすることはできなくても、
運をつかみやすい自分をつくることはできる。
これが本書から私が受け取った大きなメッセージです。
人生には、どうしても自分では変えられないことがあります。
生まれた場所。
過去。
年齢。
景気。
会社の状況。
社会の変化。
しかし、自分で変えられることもあります。
今日誰と話すか。
何を学ぶか。
何を発信するか。
誰に感謝するか。
何に挑戦するか。
失敗したとき、もう一度やるか。
この小さな選択の積み重ねが、未来を変えていきます。
「運がいい人」になるのではなく、「運に気づける人」になる
最後に、私自身がこの本から最も強く感じたことを書いておきたいと思います。
運は、突然空から降ってくるものだけではありません。
すでに目の前にあるものを、私たちが「運」と認識できていないだけかもしれません。
一冊の本を読む。
誰かと会う。
仕事を頼まれる。
失敗する。
断られる。
新しい情報を知る。
何気ない会話をする。
一見すると、どれも普通の出来事です。
しかし、その中に次の人生につながるヒントが隠れている可能性があります。
だからこそ、
「これは何かのチャンスかもしれない」
という目を持っていたい。
そして、チャンスに気づいたら、小さくてもいいから動く。
誰かに教えてもらったら、メモする。
助けてもらったら、感謝する。
自分にできることがあれば、惜しまず提供する。
失敗しても、そこで終わらない。
何度でも挑戦できるように、無理な勝負はしない。
そうやって人生を進めていけば、ある日振り返ったとき、
「あの出会いが転機だった」
「あの失敗があったから、今がある」
「あのとき、思い切って動いてよかった」
と思える瞬間がやってくるのではないでしょうか。
「運」と「コネ」は、特別な人だけに与えられるものではありません。
運は、行動する人のところに現れやすい。
コネは、信頼を積み重ねる人のところに生まれやすい。
そして、その二つを支えるのが、
「続けること」
「感謝すること」
「人の話を聞くこと」
「小さく挑戦すること」
なのだと思います。
50代から人生を変えるのに、遅すぎることはありません。
むしろ、これまでの経験があるからこそ、若いころとは違う勝負ができます。
体力ではなく経験。
勢いではなく信頼。
一発逆転ではなく、小さな挑戦の積み重ね。
そして、自分の持っているものを誰かの役に立つ形へ変えていく。
それが、これからの人生における「運とコネ」のつかみ方なのかもしれません。
今日からできることは、たった一つでもいい。
誰かに「ありがとう」と伝える。
人の話をメモする。
「自分は運がいい」と言ってみる。
気になっていたことを一つ試してみる。
そして、失敗したとしても、
「まだ途中だ」
と考える。
人生の敗北が確定するのは、失敗したときではありません。
自分で「もう終わりだ」と決めたときです。
だから、まだ終わらせない。
小さく動く。
また動く。
人とつながる。
感謝する。
そして、次のチャンスを待つ。
その繰り返しの先に、振り返れば「運がよかった」と思える人生がつくられていくのではないでしょうか。