一時期大流行した成果主義、その内実を告発し話題となった一冊!

つい最近、過去最高の日経平均株価という報道をよく目にしていました。

1989(平成元)年12月29日につけた3万8,915円を34年ぶりに更新したのです。

今、50代半ばの私も当時は大学生。株価のことはよくわからず、全く興味もなかった昔の話に過ぎません。

翌年の1990(平成2)年から株価が下落し、バブルが弾けていくことになります。

バブルが弾けるのと合わせるように、日本の大企業を中心に取り入れられたのが「成果主義」です。

まさに当時、大流行した人事制度です。

その象徴であったのが、富士通や武田薬品といった業界を代表する大企業でした。

「成果主義」の象徴であった富士通の社員であった城繫幸氏が、その内実を書かれた一冊です。

初版が発行されたのは、2004(平成15)年7月30日。その当時、私はこの本にも名前が出てくる大企業の子会社に勤めていました。

その当時の上司に勧められて手に取った一冊なのです。

1990年代に導入された成果主義の批判が巻き起こり始めた時期です。

そして、成果主義にとって代わるように役割主義が提唱され始めたのです。

行き過ぎた成果主義を反省し、海外に本拠地のある大手コンサルタント会社の勧める役割主義人事制度を導入しようとしていたことを思い出します。

そもそも富士通が成果主義を導入したきっかけは、シリコンバレーの視察だったといいます。

単年度赤字になってしまった富士通が発展するシリコンバレーに学ぼうとしたのです。

シリコンバレーで富士通の技術者よりも猛烈に働くエンジニアを目にして、その違いは成果主義という人事制度によって生まれていると感じたからだといいます。

そのため、

そもそも「成果主義」とは、いったいどんな制度なのか?それを導入すると、会社はどうなるのか?

という最も基本的なこと、自社にふさわしい制度かどうかを十分に吟味をすることなく、導入を急ぎ過ぎたことが、「成果主義」が十分に機能しなかった最大の要因だと分析されています。

それ以降も「役割主義」「コンピテンシー」が一大ブームとなり、そして今、「ジョブ型人事」が多くの大企業から注目されています。

本当に「ジョブ型人事」を導入すれば、全てが上手くいくのでしょうか。

本当に「ジョブ型人事」は自社にふさわしい制度かどうか、十分に吟味をされたのでしょうか。

もちろんふさわしい企業、ふさわしい職種はあると思うのですが、この制度一つで全てが上手くいくような万能薬ではないと思うのです。

当時のブームを知っているかどうかに関わらず、成果主義の失敗を繰り返さないための必読書として、お勧めの一冊です。

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