あなたは日本人が振り回され続けている迷信を知っていますか?

以前のブログで、憲法十七条を取り上げ、仲よく話し合えばうまくいく、という「話し合い至上主義」を聖徳太子の時代から現代まで、日本人は最も大切にしていると書きました。

実は、この「話し合い至上主義」を教えてくれたのが、YouTubeX(旧Twitter)でも情報を発信している井沢元彦氏の代表作と言える『逆説の日本史』でした。

第26巻は「明治激闘編」。国民作家と言われる司馬遼太郎氏のベストセラー『坂の上の雲』で焦点を当てた日露戦争時代。

あくまで司馬遼太郎氏は歴史小説家ですので、全てを史実通りに描く必要はありません。しかしながら、あまりにも偉大な作者の大ベストセラーということで、書かれた内容を史実として受け取っている読者も少なくありません。

第三軍司令官であった乃木希典大将は『坂の上の雲』では、無能な司令官として書かれています。それは多くの日本人にとって「真説」と言えるのではないでしょうか。

その「真説」に対して、エビデンスを上げながら乃木希典大将は優秀であったという「逆説」を提唱しているのが本書です。

歴史学者の主張する「真説」に対して、異議を唱えているのが井沢元彦氏の「逆説」と言えるでしょう。

詳細は実際に読んでいただきたいのですが、第26巻では、その他にも様々な井沢元彦氏の逆説が書かれています。

日露戦争の最大の山場と言われるバルチック艦隊を殲滅した日本海海戦。日本海海戦は参謀である秋山真之が提唱した丁字戦法で勝ったという広く信じられている説に対する逆説。

戦争を終結させたポーツマス条約締結に反対する人々が暴徒化した日比谷焼打事件。この事件は、民衆が藩閥専制政治に抵抗した運動であり、その後の大正デモクラシーにつながったという広く信じられている説に対する逆説。

その当時の権力者にとって都合の悪い史料は破棄されたり、書き替えられたりするでしょう。個人の意見を書き残すのも、ごく限られた人の習慣です。

それらの理由によって資料が不十分な中、これらの逆説を井沢元彦氏は、どのようにして導き出しているのでしょうか。

導き出すポイントは、

史料の無いところは推理で埋めていくしかないが、その推理の最大の根拠となるのは「常識」

だといいます。

そして、常識では理解できない行動を起こす要因は、「言霊」信仰であり、「怨霊」信仰だと提唱されています。

日本人は、今でも「言霊」信仰や「怨霊」信仰という迷信に振り回されているといいます。

数年前に、運動会の徒競走で全員が最後は手をつないでゴールし、順位を付けないということが報道されていました。

これは、順番を付けると恨みを抱きかねない敗者を生んでしまうことを恐れているからだと言えるのではないでしょうか。この背景にあるのが恨みによる報復等を恐れる「怨霊」信仰です。

同じように「話し合い至上主義」の背景にあるのも、「怨霊」信仰なのです。

「談合」も敗者を生むことを恐れる「怨霊」信仰によるものですから、なかなか無くならないでしょう。

みなさんも、日本人のDNAに刻まれた価値観について考えてみませんか。

考えてみようと思う人にお勧めの一冊です。

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