新井紀子氏が登壇する無料オンラインセミナーを視聴しました。
2018年5月22日に大阪で開催された「JB Group IT Forum2018」の基調講演依頼、久しぶりにお話をお聞きすることが出来ました。
日本の労働人口の約半数の仕事がAI(人工知能)に代替可能になるという推計をした有名な研究があります。その研究結果が発表になる以前に、新井紀子氏は『コンピュータが仕事を奪う』という著書の中でコンピュータによって仕事を失う人々が出てしまうことを予測されていました。
歴史を振り返ると、産業革命のように仕事がなくなる大きな変化はありました。その時は、失われる仕事があるのと同時に、新しい仕事も生まれ、人々が新しい仕事に就くことによって失業することは免れてきたと言われています。
それでも、新しい仕事に就くための教育を受けておらず、失業せざるを得ない人も多かったでしょう。そのような人たちが新しい仕事に就けるようになるまでには、どうしてもタイムラグが発生してしまうのです。それが、世界大恐慌へと繋がってしまった悲しい歴史があるのです。
今、言われているのは約半数の仕事がAIによって無くなるというのですから、規模が全く違います。もちろん、私もその半数になるかもしれません。仮に新しい仕事ができたとしても、その仕事に就くことができるかどうかはわかりません。
それでは、AIに勝つためにはどうすればいいのでしょうか。
そのヒントを得るために、以前のブログでふれたこともある『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』をもう一度、読み直してみようと思ったのです。
新井紀子氏といえば、2011年から始められた「ロボットは東大に入れるか」と名付けられた人工知能プロジェクトで一躍脚光を浴びた人というイメージを私は持っています。このプロジェクトの目的は、東大に合格するロボットをつくることではなかったそうです。
本来の目的は、
AIにはどこまでのことができるようになって、どうしてもできないことは何かを解明すること
だと言われます。
解明することが出来れば、
AI時代が到来したときに、AIに仕事を奪われないためには人間はどのような能力を持たなければならないかが自ずと明らかになる
と新井紀子氏は考え、「ロボットは東大に入れるか」という人工知能プロジェクトを計画し、実行したといいます。
今、話題の生成AIのような人工知能をつくろうとしたのではなく、AIに仕事を奪われないための能力を明らかにしようとしたのです。
まさに時代を先取りしたプロジェクトと言えるのではないでしょうか。
そして、AIに仕事を奪われないために必要な能力は意味を理解する能力。AIには肩代わりできそうにないのは、高度な読解力と常識、加えて人間らしい重要な判断が要求される仕事だと主張されています。
それらの能力を身につけるためには「読解力」がキーワードであり、日本人の読解力を高めることを目的に新井紀子氏は積極的に活動されています。
最初に触れました今回の無料セミナーは読解力を高めるための研修等を展開されている会社が主宰されたものでした。
研修の案内は丁重にお断りいたしましたが、AIに負けないように「読解力」は身に着けたいと思いました。
みなさんも、読解力を高めることを意識されてはいかがでしょうか。