以前、Linkedinで畑村洋太郎氏が書かれた『やらかした時にどうするか』を取り上げたことがあります。
畑村洋太郎氏といえば、「失敗学」の提唱者として有名な東大名誉教授ですが、著書の中で
失敗学は「失敗しないための学問」ではありません。
失敗学は「創造的(クリエイティブ)に生きるための哲学」です。
と書かれています。
失敗はどんなに用心深く行動しても必ず起こるといいます。
だからこそ、「絶対に失敗しないように」などと考えても無駄であり、失敗をしてしまったら、気持ちを切り替えて、徹底的に失敗を分析・整理して、その後の自分の人生の糧にする知識やノウハウをきちんと身につけることが大切だと主張されています。
つまり、『やらかした時にどうするか』が大切なのです。
ところで、失敗学では失敗をどのように定義しているのでしょうか。
失敗学では、「人間が関わって行う一つの行為がはじめに定めた目的に達成できないこと」を失敗と定義しているそうです。
それでは、「失敗」と「老い」には、どのような共通点があるのでしょうか。
畑村洋太郎氏は、
望んでいないことが起こること、そしてそれらが避けては通ることが出来ない点が、まさしく失敗と老いの共通点
だといいます。
絶対に起こらないようにしようとしても無駄であること、起こってしまったら気持ちを切り替えて分析・整理してその後の自分の人生の糧にするべきことというのも、実は「失敗」と「老い」の共通点ではないだろうか。
この二冊の本を読み終えて、私が感じたことのひとつです。
50代半ばの私は、まだそこまで「老い」を感じてはいないものの、それでも20代の時と比べると、仕事のうえでもプライベートでも無理がきかなくなってきたなとは思うことはあります。
これからもっと「老い」を感じることが増えるのかも知れませんが、そのようなときには畑村洋太郎氏の言われる「努力最小の原理」に従いと思います。
何らかの問題に対処するときに、老獪さを発揮してテクニックを駆使したり、極端な表現をすると手抜きやインチキをしてもいいのではないかと言われます。
何事も全力で行うのではなく、最小限の努力で最大限の効果を目指すべきだと私は勝手に解釈しました。
老いることによって、若いころよりも何かを行おうというエネルギーはどうしても失われていきますから、そのエネルギーを集中させて効率よく使うことが大切になるということです。
この著書で最も主張されたいことは、失敗や老いの問題への対策の正解は一つではないということでしょう。
正解は一つではありませんから、老いることによって発生する問題への対処方法で最も大切なことは、自分にとっていかに生きやすい状態をつくるかということだと著者は提唱されているのです。
ゆっくりと自分にとって生きやすい環境を作っていきませんか。