以前のブログで、2018(平成30)年の賃上げは、20年振りの高さになりそうなこと、土光敏夫氏は著作の中で、「賃金を低く抑えようとする努力からは、会社の繁栄はうまれない」と書かれていることを取り上げました。
また、初任給を大幅に引上げる企業のことも取り上げ、新入社員と2年目・3年目社員との賃金のバランスについて書きました。
今回は、2018(平成30)年5月8日から11日までの4日間、日本経済新聞朝刊に掲載された「賃金革命」というコラムについて取り上げます。
賃金革命がついに始まった?!
2018(平成30)年5月8日掲載の初回のコラムは、「中国発「40万円ショック」」という見出しでした。
LINEやメルカリ等といった、今、とても成長している企業が取り上げられていました。要約すると、新入社員の年収に100万円以上もの差をつける企業が現れ、まさに賃金の革命が起ころうとしている、という内容でした。
今まで、そのような差をつける企業はなかったのでしょうか?
みなさんは、三洋電機を知っていますか?
特に携帯電話に強かった大手家電メーカーに三洋電機株式会社があります。
今では、多くの事業を売却した後、実質、パナソニック株式会社に吸収されています。
その三洋電機株式会社は20年ぐらい前になりますが、1990年代後半に、弁護士、会計士や税理士、社会保険労務士といった国家資格を在学中に取得している新入社員について、800万円以上という年収で採用していました。
普通に入社する新入社員の2倍以上の年収で採用したのです。
正直、資格を取得しているとはいえ、何の実績もない新入社員をそのような年収で採用して、うまくいくのだろうか、と強く疑問に思ったものです。
結果としては、その後、企業の業績が急激に悪化してしまったので、新入社員の年収に差をつけたことに関する評価については、寡聞にしてわかりません。
20年前のことでありながら、いまだに強く印象に残っている出来事でした。
賃金については、試行錯誤の連続…
三洋電機株式会社の例でもわかるとおり、以前にも新入社員の給与に差をつける試みは行われたことがあるのです。
人手不足対策が求められていることを考えると、おそらく、これからも賃金についての試行錯誤が続くと思われます。
もし、賃金だけが、人手を確保する方法となれば、ますます多くの中小企業は大手企業に太刀打ちできなくなります。
賃金以外に社員にやる気をもって働いてもらうためには?
以前のブログで、岡本純子氏の著作である『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)を取り上げました。
その著作の中に、たとえ報酬をあげなくても、
- 上司からの賞賛
- 幹部(リーダーシップ)からの評価
- プロジェクトやタスクフォースの仕事を主導するように任せる
という三つの方法で、コストをかけずに、社員のやる気を刺激できる、という世界的なコンサルタント会社であるマッキンゼーの考えが書かれていました。
賃金は重要ですが、それだけで幸せになれるわけではありません。
以前のブログでは、幸福感を決めるのは、「家計(所得・消費)」、「健康」、「家族」の3つであると書きました。
みなさんは、どのようなときに幸せを感じますか?
幸せになれる道をゆっくりと考えてみましょう。