以前のブログで少し取り上げましたが、2018(平成30)年3月31日の日本経済新聞朝刊に、「初任給 底上げ進む」という記事が掲載されていました。
ブログでは、調査全体の初任給が引上げられ、月平均で 215,367円(前年比 0.6%増)になったことを書きました。
今回は、初任給の水準ではなく、前年から大きく伸びた企業について、注目していきます。
初任給の伸び率が10%を超える企業も!
同じ記事の中に、初任給が昨年よりも10%を超えて増えている企業が3社、掲載されていました。
- スカパーJSAT(通信サービス):初任給 25万円(前年からの伸び率 15.5%)
- 山善(商社) :初任給 24万円(前年からの伸び率 13.2%)
- 日鉄住金物産(商社) :初任給 24万円(前年からの伸び率 12.1%)
伸び率から逆算すると、25,000円強~34,000円弱までの引上げをしたことになります。
給与制度の構築・改定も行ってきた経験から、どのように対応したのか、興味津々な問題があります。
それは、「昨年、あるいは一昨年に入社した社員の給与はいくらにしたのか」、ということです。
日本の企業は「年功制」?
みなさんは、日本の企業の特徴として、「年功制」という言葉を聞いたことがあると思います。
「年功制」というと、同期入社の人は同じように昇給し、昇進していくような印象を持っているかもしれません。
ここで考えていただきたいのですが、多くの企業の組織は、例えば、社長は1人、役員は数人、部長は十数人、課長は数十人、というように、程度の差はあるものの、ピラミッド型(上位役職者ほど少なくなる)になっています。
ということは、同期入社全員が社長になったり、役員になれません。また給与は、逆転することはあるものの、基本的には課長よりは部長、部長よりは役員のほうが高くなります。
そのため、同期入社全員が同じように昇給したり、昇進していくことはできません。いつかは、大きな差がつきます。長期に非常にゆっくりと差がついていくのが、日本の企業の特徴なのです。
ですから、新卒で入社した2年目や3年目の社員ではあまり差はつけませんし、新入社員よりは2年目、2年目よりは3年目の社員の給料が高くなるようにするのが日本の企業では一般的だと思われます。
入社2年目、3年目の社員の給与は?
2018(平成30)年4月26日の日本経済新聞朝刊に、「大企業賃上げ 今春 2.54%」という記事が掲載されていました。
賃上げ 2.54%を金額に直すと、月額 8,621円とのことです。
仮に新卒2年目の社員も全体の平均と同額の 8,621円も月額で給与があがったとしても、その金額以上に初任給を引上げてしまうと、新入社員と新卒2年目の社員で給料が逆転することになります。
新卒2年目の社員からみると、後輩の初任給より給料が低くなることは、とても納得できないでしょう。
初任給を 25,000円引上げた場合、新卒2年目や新卒3年目の社員はどれくらい昇給したのでしょうか。
それとも、新卒2年目の社員と逆転することを認めたのでしょうか?
どうすれば、みんなが納得のいく昇給ができて、幸せになれるのでしょうか?
じっくりと考えてみてください。