2023(令和5)年6月の実質給与は前年同月比で1.6%減少

2023(令和5)年8月8日に、毎月勤労統計調査 令和5年6月分結果について、厚生労働省が公表しています。

毎月勤労統計調査は、賃金や労働時間及び雇用の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が国の重要な統計調査である基幹統計調査として実施します。その前身も含めると大正12年から始まっているそうです。

常用労働者5人以上の約200万事業所から抽出した約33,000事業所を対象に行われていますが、

統計法第13条には、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定しています(報告義務)。また、同法第61条では、「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定

されていますので、選ばれた事業所は回答しなければなりません。

現金給与総額に残業手当や賞与は含まれるのでしょうか?

現金給与総額は、

賃金、給与、手当、賞与その他の名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に通貨で支払うもので、所得税、社会保険料、組合費、購買代金等を差し引く前の金額である。退職を事由に労働者に支払われる退職金は、含まれない。

と定義されています。

いわゆる残業手当も賞与も含まれます。

夏季賞与を6月に支給されている企業も多いため、6月は他の月に比べ、給与総額も多くなる傾向があります。

現金給与総額は前年同月より2.3%増えました!

6月の給与総額(就業形態計)は 462,040円、前年同月比で 2.3%増えていました。

もう少し詳細に見ますと、残業手当も含まれるきまって支給する給与が 272,228円で前年同月比で 1.5%増、賞与が含まれる特別に支払われた給与が 189,812円で前年同月比 3.5%増となっています。

毎月支給される給料も、賞与も前年よりは増えたようですが、増加率としては賞与の方が大きかったようです。

物価上昇を加味した実質賃金は前年同月より減少!!

現金給与総額は 2.3%増えていますから、単純化すると昨年6月の現金給与総額が10万円の人が、今年は102,300円になります。

仮に昨年の6月に10万円で買うことができたTVが5%値上げをしたとすると、今年は105,000円となってしまい、昨年は現金給与で買えたものが今年は買うことができないということになってしまいます。

つまり、現金給与総額は前年同月よりも増えたとしても、それ以上に物価が上昇してしまうと買えるものが少なくなり、購買力(買えるもの)を基準とする実質賃金は減少したことになります。

消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を覗く場合)の前年同月比は 3.9%上昇していますから、賞与等の特別支給を含む現金給与総額で、前年同月比で1.6%減少、きまって支給する給与では前年同月比で2.4%減少となってしまいます。

生活レベルを維持するためにも、消費者物価指数上昇率を超える賃金の引き上げの実現が待ち望まれます。

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