入社式は日本独自の儀式!?

一昨日の4月2日(月)は多くの企業で入社式が行われたのではないでしょうか。

この入社式は欧米にはないようです。なぜ、日本には入社式があるのでしょうか。

新卒一括採用だからこそ、入社式はできます!

以前のブログで、新卒一括採用だからこそ、世界基準でいえば、日本の若者は勝ち組になれると書きました。

欧米であれば、欠員等で必要になった場合に、職務を決めて募集し、要件を満たした人を採用します。

例えば、「○○支店営業職スタッフ」と求めるポストを明確にして必要に応じて募集し採用するのです。

そのため、企業に入社するというよりも、まさしく「職(務)」を得る、という表現がぴったりします。

入社するという意識があまりありませんので、入社式を行うという発想も出てこないのです。

それに対して日本では、新卒生を一括で採用します。このときに基本的には、欧米とは違い、職務を明確にしていません。

そのため、「職(務)」を得る、というよりも、どのような仕事をするかわからないまま、企業に入社するという意識を持つようになります。

日本は「メンバーシップ契約」!

濱口桂一郎氏は、著書の『新しい労働社会ー雇用システムの再構築へ』(岩波新書)の中で、

雇用契約それ自体の中には具体的な職務は定められておらず、いわばそのつど職務が書き込まれるべき空白の石版であるという点が、日本型雇用システムの最も重要な本質なのです。こういう雇用契約の法的性格は、一種の地位設定契約あるいはメンバーシップ契約と考えることができます。

と述べられています。

みなさんが、何らかのサービスをお願いしようとするときには、例えば、

  • キッチンの掃除に対して〇〇円を支払います。
  • この荷物を目的地にまで運んでもらえれば△△円を支払います。
  • 英語を2時間、教えてもらえれば、□□円支払います。

といったように、提供してもらうサービスの内容とその対価を明確にして契約していると思います。

ところが、日本の雇用契約では、この提供してもらうサービス内容(雇用契約で考えるならば、職務内容)をあえて白紙にし、定めていないのです。

日本では、「職務」を得るのではなく、「職務」は企業にお任せで、とにかくの企業の「メンバー」になるために、入社式を行い、「メンバー」としての一体感を醸し出しているのです。

ところで、日本でも職務を明確にして採用される社員がいます。それは、中途採用社員です。そのため、中途採用社員の入社式は行われないのが一般的です。

最近では、中途採用社員にも企業の仲間になったということを認識してもらうために、簡単な入社式を行う企業の話を聞くことがあります。

入社式を考えていくと、日本の企業は、一緒に働く社員の一体感を重視していることがわかります。

それだけ、日本の企業は「和」を重視しているのです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする