失われた30年を日本が取り戻すためにどうすればいいのでしょうか?

『日本を殺すのは、誰よ!』

インパクトのある書名に思わず手に取ってしまった一冊。

以前のブログで何度か紹介しました『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』、2010年には早くもコンピュータによって仕事を奪われることに警鐘を鳴らしていた『コンピュータが仕事を奪う』等々の話題作を書かれた新井紀子氏。

「オガールプロジェクト」のファイナンシャルアドバイザーとして日本初の民間資金による公共投資事業を立ち上げたぐっちーさん氏。

お二人が何十時間も語り合い、各々執筆された文書を編集したのが、この『日本を殺すのは、誰よ!』です。

2018年12月25日に初版第1刷が発行されていますから、5年半も前に書かれていますが、今でも同じ課題を日本は抱えているのではないでしょうか。

内容としては、まず第1章で学校教育を取り上げます。

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で詳細が書かれています「リーディングスキルテスト」の結果を踏まえ、急降下する日本をソフトランディングさせる方法を学校教育の面から検討されています。

続く第2章では、女性が活躍できる基盤づくりがテーマです。

この章で提案された内容が影響したのかどうかわかりませんが、こども家庭庁は「こども誰でも通園制度(仮称)」の試行的事業を始めました。

日本を救うには、女性の活躍が重要だということに、政府をはじめとして気づいたということでしょう。

第3章では、これからの日本を支える若者たちを幸せにするための提言です。

続く第4章では、地域再生・地方創生がテーマです。

新井紀子氏は滋賀県米原市、ぐっちーさん氏は岩手県紫波郡紫波町で実際に地域再生・地方創生にチャレンジされています。

その実体験も踏まえたうえで、様々な提言をされています。

第2章で女性、第3章で若者、第4章で地方と、失われた30年ともいわれる今の日本が抱えている課題とその解決策が散りばめられています。

第5章では、女性や若者とよく対比される中高年男性に向けた、これからの人生を過ごすための指南が書かれています。

私にとって「使えるオジサン8ヵ条」は非常に耳の痛い指摘でした。

最後の第6章では、第5章まで取り上げた「日本を殺す」要因を克服するための解決策が提唱されています。

「日本を殺す」のではなく、「生かす」ためには、「できない理由」を考えるのではなく、「できるようにするための理由」を導き出すこと。

そして、一つひとつの問題をていねいに解決していくこと。

その二つの大切さを繰り返し、主張されています。

日本を、社会をもっとよくしたいと思っているみなさんに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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