2018(平成30)年5月8日の日本経済新聞朝刊に、「派遣、安定より自由な仕事」という記事が掲載されました。
どういうことでしょうか?
法改正とあわせて見てみましょう。
条件を満たして、希望すれば無期雇用に!
記事の中にもありますが、派遣社員に関する二つの法律が2018(平成30)年に大きく変わります。
まず一つ目として、労働契約法が改正されました。
改正された結果、同じ派遣会社で5年以上働く派遣社員は希望すれば派遣元(派遣会社)で無期雇用契約の社員になれるようになりました。
労働契約法の改正については、以前のブログでも取り上げています。
二つ目の法改正として、労働者派遣法があります。
こちらの改正はもうすぐ実施されることになります。
改正されると、2018(平成30)年9月末から、3年以上同じ職場で働くには、派遣先(実際に働いている企業)の直接雇用(社員になること)か、派遣元(派遣会社)の無期雇用契約の社員に切り替えることが必要になります。
どちらの法改正も、一定の条件を満たせば、派遣社員から直接雇用の社員への切り替えを進めるものです。
法改正のねらいは?
今回の法改正は、短期の就労を繰り返す不安定な労働環境の改善をねらっています。
なぜなら、就労期限のない無期雇用を選択すれば、契約更新時に「雇止め」で失業してしまうことが少なくなり、生活が安定すると考えられるからです。
それでは、このような改正が行われるほど、派遣社員という働き方は不安定なのでしょうか?
年越し派遣村を覚えていますか?
コトバンクには、派遣村の説明として、
派遣切りされた労働者らに年末年始の食事と寝泊まりできる場所を提供しようと、労働組合や支援団体「反貧困ネットワーク」など約20団体が昨年(2008年のこと)12月31日~1月5日、東京の日比谷公園に設けた。想定を上回る人が集まり、実行委員会によると5日朝までの「入村者」は約500人。
と掲載されています。
連日、テレビで放送され、新聞にも大きく取り上げられましたので、記憶されている方も多いのではないでしょうか。
2008(平成20)年秋に、リーマンショックと呼ばれた世界金融危機がおこり、派遣労働者の中途解雇や雇止めが多発し、大きな社会問題となりました。
私も当時勤めていた企業で順次、派遣社員の契約を契約期間満了にあわせて打切りました。派遣先(実際に勤務している)企業でしたので、派遣元企業との契約を終了したのです。
新聞にも報道されたため、労働基準監督署から出頭の要請があり、全派遣社員の派遣契約期間と期間満了までのいきさつをまとめて、説明に伺ったことがあります。
派遣社員という働き方が不安定であり、企業に直接、雇用されることを希望する人が増えたのを実感していました。
求人不足により、派遣社員の雇用も安定?
派遣切りが問題になったころに比べ、景気は大幅によくなり、人余りから人不足へと経営者の言うことも大きく変わりました。
派遣社員の時給も、以前のブログでも書きましたが、上昇しています。
人不足といわれ、働く場所はあるでしょうし、給料もあがっています。
そういう意味では、派遣社員という働き方でも、雇用は安定してきていると思われます。
問題は、派遣社員が希望する仕事と企業が求める仕事があわないために、働く場所がなくなる可能性が契約の都度、発生することと、景気が悪くなったときに、再び、派遣切りが起きるかもしれないことの二つではないでしょうか。
働き方が選べるというのは、決して悪いことではありません。
だからこそ、派遣社員としてのメリットとデメリットをしっかりと考え、判断したうえで、働き方を選びましょう。