平成30年1月17日付日経新聞朝刊に年金の受け取り開始を70歳を超えてもできるような選択肢を政府が検討するという記事がでていました。
現在は65歳からの年金受け取りを基本として、希望すれば60歳から70歳までの間で受け取りを開始することができるようになっています。
それでは、何歳から受け取り始めるのがお得でしょうか?一つずつ考えていきましょう。
65歳の受け取り開始の年金額は約22万円
厚生労働省(平成30年1月26日公表)によると、平成30年度に新規に年金を受け取り始める夫婦二人の年金は月に221,227円とのことです。
※夫が平均的収入(賞与を含む平均標準報酬月額42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった場合
月に約22万円ですから、年間で約265万円になります。40年間働き、保険料を納めた結果としては少ないと感じる人が多いかもしれません。
65歳まで待てない、もっと早く年金が欲しい場合、受け取れる年金はどうなるでしょうか。
60歳から受け取ると年金額は約15.5万円
年金の受け取り開始を1ヵ月早くすると0.5%減額になりますので、60歳(12ヵ月×5年早く)から受け取りを開始すると30%減額、つまり70%水準になります。
具体的には、月額で221,227円×70%=154,859円≒15.5万円、年間で約186万円ということになります。
では逆に、遅く受け取り始めるとどうなるでしょうか。
70歳から受け取り始めると年金額は約31.4万円
年金の受け取り開始を1ヵ月遅くすると0.7%増額になりますので、70歳(12ヵ月×5年遅く)から受け取り始めると42%増額になります。
具体的には、月額で221,227円×142%=314,142円≒31.4万円、年間で約377万円ということになります。
年金だけで生活できそうな金額になります。
年金の受け取り開始年齢は自分で決められます。では、何歳から受け取り始めればお得なのでしょうか。
自分で計算することに意味があります!
インターネットで検索するとすぐに答えが出てくるかもしれません。ただ、その答えは正しいのでしょうか。
自分で計算することによって、インターネットの情報が正しいのか、それとも誤っているのかが分かるようになります。自分で計算しなければ、騙されてしまうかもしれません。
計算は難しくありませんので、一緒にやりましょう。
60歳と65歳で比べてみましょう!
受け取り開始年齢が60歳(ケース①)のほうが早くから受け取れますが、65歳(ケース②)から受け取るほうが1年間の年金額は多くなります。レースに例えると、まずケース①が先にスタートします。それをケース②が追いかけて、ある年齢で追いつき追い越していくことになります。
何歳で追いつくのでしょうか。
追いつく年齢を仮にA歳とします。追いつくとは、60歳からA歳までに受け取った年金額と65歳からA歳までに受け取った年金額が同じになることを意味します。
まず、60歳からA歳までに受け取った年金額は(A歳ー60歳)×186万円、65歳からA歳までに受け取った年金額は(A歳ー65歳)×265万円となります。
この2つの計算結果が等しくなるA歳を求めることになります。ややこしいので、計算の途中は単位を省きます。
(A歳ー65歳)×265万円=(A歳ー60歳)×186万円
265A-17,225=186A-11,160
79A=6,065
A=76.77…≒76.8
計算結果から、77歳が目安になります。77歳以降も年金を受け取ることができるのであれば、65歳から受け取り始めるほうがお得です。
65歳と70歳で比べてみましょう!
考え方は同じですので、追いつく年齢をB歳とすると、(B歳ー70歳)×377万円=(B歳ー65歳)×265万円を計算すると答えは出てきます。
ぜひ、自分自身で計算してください。ちなみに答えは、81.8歳になります。
簡単な計算をすることによって、インターネットの情報が正しいかどうか、判断がつきやすくなります。
ぜひ、手を動かすことを習慣にしてください。