日本の年金の所得代替率を知っていますか?

先日のブログでは、髙橋洋一氏が書かれた『「年金問題」は嘘ばかりーダマされて損をしないための必須知識ー』(PHP新書)を取り上げました。

その著書の中でも書かれていた「所得代替率」について、一緒に見ていきましょう。

そもそも所得代替率とは?

厚生労働省のHPには、所得代替率の説明として、

年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すものです。

たとえば、所得代替率50%といった場合は、そのときの現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになります。

と書かれています。

政府(厚生労働省)は2004(平成16)年の年金制度改正のときに、所得代替率は50%を上回るようにすることを約束しています。

所得代替率の見込みは?

将来の所得代替率の見込みを試算するには、人口の増減や経済成長等、様々な条件を決めて行います。

平成26年度には、人口は中位で経済成長率が高いケースAから、低いケースHまでの8通りの試算が行われています。

この試算の中では、経済成長率も中位レベルのケースEでも、所得代替率は50.6%と50%を上回りそうです。

OECD(経済協力開発機構)の試算では、所得代替率は40%?!

OECD(経済協力開発機構)が「図表で見る世界の年金2013」(Pensions at a Glance2013)を発表しています。

発表内容によると、日本の公的年金の所得代替率は、総所得代替率 35.6%(税・社会保険料控除前)、純所得代替率 40.8%(税・社会保険料控除後)となっています。

所得代替率は50%を下回っているというのです。

厚生労働省とOECDで、所得代替率が 10%以上も違うのは、なぜなのでしょうか?

厚生労働省の見解は?

厚生労働省は、所得代替率の違いについて、主に3つの要因があると公表しています。

 厚生労働省OECD
対象となる年金本人の年金
  +配偶者の年金
本人の年金のみ
分子と分母(分子)
税・社会保険料控除前
(分母)
税・社会保険料控除後
【総所得代替率】
(分子・分母)
税・社会保険料控除前
【純所得代替率】
(分子・分母)
税・社会保険料控除後
加入期間40年45年間

厚生労働省は、「40年間厚生年金に加入し、その間の平均収入が厚生年金(男子)の平均収入と同額の夫と、40年間専業主婦の妻がいる世帯」の2人の年金を足した金額なのです。

所得代替率は、年金額 ÷ 現役世代の収入 × 100% です。この世帯では、分子の年金をもらうのは二人分のため、所得代替率は大きくなります。

今、政府は女性の社会進出を推進しようとしています。また実際、40年間も専業主婦の世帯はどちらかというと少数派になってきているのではないでしょうか。

そうであるならば、厚生労働省のモデルよりも、現役世代の収入と年金の受け取りともに本人のみであるOECDのモデルのほうが適切ではないでしょうか。

社会保険料の取扱は恣意的?

年金にも税金や社会保険料はかかります。

厚生労働省の試算では、受け取る年金額は税・社会保険料控除、つまり、本当に受け取る金額よりは、その分、上乗せされています。

一方、現役世代の収入は、税・社会保険料控除、その分、総収入よりも少なくなっています。

分子と分母で、税・社会保険料の取扱が異なるのでは、所得代替率をよく見せるために、恣意的に行っている、といわれても仕方がないのではないでしょうか。

OECDの基準では、総所得代替率は、分子と分母ともに税・社会保険料控除前、純所得代替率は、分子と分母ともに税・社会保険料控除後、です。

この違いに、厚生労働省は、法律に定められたとおりに試算しただけ、といいます。

それではなぜ、法律を変えようとしないのでしょうか?

そこが不思議です。

自分で考えて、老後の準備を!!

厚生労働省の試算を鵜呑みにしないほうがいいことは、理解いただけたでしょう。

制度を維持するという意味では、所得代替率は重要です。

しかしながら、実際の生活を考えると、自分はいくらもらえそうか、ということの方が大事です。

今の日本には「ねんきん定期便」という仕組みもありますし、日本年金機構には「ねんきんネット」という仕組みもあります。

これらの仕組みを知って、活用すること。

そして、いつまで働くのか、何歳までにいくらぐらい準備するのか、具体的に考えましょう。

長い人生ですから、考えて行動し、必要に応じて修正することを繰り返せばいいのです。

さあ、幸せになるためのまず第一歩を踏み出しましょう。

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