2018(平成30)年3月26日と3月27日の日本経済新聞朝刊の経済教室のテーマは、「高齢化する貧困」でした。
実際、高齢者の世帯はどのような状況なのでしょうか?
世帯別の所得状況と比べてみると?
厚生労働省が実施した「平成28年 国民生活基礎調査」を取り上げます。
調査を行ったのが、平成28年ですので、所得の対象となる期間は、平成27年1月1日から平成27年12月31日までの1年間になります。
全世帯の平均所得は545万8千円になっています。
それに対して、高齢者の世帯の平均所得は308万4千円になっています。全世帯平均の56.5%水準ということです。
ただし、これだけでは高齢者世帯が貧困であるとは言い切れません。
他の世代に比べて、一般的には教育費の負担が軽くなっているでしょう。住宅のローンも終わっているかもしれません。お子さんも独立されて、生活費の負担も軽くなっている世帯が多いかもしれません。
もう少し詳細にみてみましょう。
高齢者世帯の所得の6割以上が「公的年金・恩金」です!
高齢者世帯の所得の内訳は以下のとおりです。
- 稼働所得:65万円(構成割合 21.1%)
- 公的年金・恩給:201万6千円(構成割合 65.4%)
- 財産所得:22万9千円(構成割合 7.4%)
- 年金以外の社会保障給付金:1万9千円(構成割合 0.6%)
- その他(企業年金・個人年金等):16万9千円(構成割合 5.5%)
また、「公的年金・恩給」の総所得に占める割合が100%、つまり、「公的年金・恩給」以外に所得がない世帯が54.1%あります。過半数の世帯が、「公的年金・恩給」だけで生活しているということです。
「公的年金・恩給」の総所得に占める割合が60%以上でみてみると、高齢者世帯の78.5%が含まれることになります。
高齢者世帯を支えているのは、「公的年金・恩給」であることが、数字に表れています。
公的年金給付は減少している!
2018(平成30)年3月27日の日本経済新聞朝刊の経済教室というコラムで、立命館大学特任教授である唐鎌直義氏は、1人当たりの年間公的年金給付費は、2000年から2014年の14年間で16万円弱減っていると述べられています。
高齢者世帯を支えている公的年金が減っているのですから、生活は苦しくなるのは当たり前です。
高齢者のいる世帯のうち4世帯に1世帯が貧困!!
同じコラムに、65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、27.0%の世帯が、生活保護基準に満たない収入で生活する貧困世帯になっていると述べられています。
7年前の24.7%という数字もショッキングですが、それがさらに増えているというのです。
もちろん、政府として取るべき対策を取ってもらいたいですが、待っているだけでは改善しません。
自分自身で何ができるか、を考えて、早めに準備することが、ますます必要になってきます。
ぜひ、将来、自分がどのような生活がしたいのか、そのためにはどれくらいの収入や資産が必要なのか、それをどのように準備をするのか、真剣に考えましょう!