60歳以降の経済的不安を和らげるために必要な経済学の知識とは?

以前のブログで、髙橋洋一氏の「年金問題」は嘘ばかりーダマされて損をしないための必須知識』(PHP新書)を取り上げたことがあります。

「年金問題」は分かっているようで、案外、誤解していることが多い問題です。

例えば、年金は国が無条件に老後のために支給してくれる社会福祉だと思っていませんか。

確かに多くの税金を使って年金を受けとる権利があり、必要な手続きを行った方々に支給されていますが、社会福祉ではなく、保険なのです。

例えば、公的年金事業の運営業務を担う日本年金機構のHPをみると、「厚生年金保険」と記載されています。

保険ですから、あらかじめ保険料を払い、あらかじめ決められた事象(保険事故)が起こった場合、保険金が受け取れるということです。

決して、社会福祉ではないのです。

年金のように多くの方が誤解されている事柄に関して、詳細に説明し理解を促すというよりも、仕組みを理解するうえでの勘所をシンプルに説明してくれるのが髙橋洋一氏の書かれた本に共通する特徴です。

ところで、髙橋洋一氏が60歳以上の人をターゲットとして、わかりやすい経済学の本をなぜ書かれたのでしょうか。

著者自らが

なぜなら、経済学を学ぶことで自分の生活で起こっている事象をより深く理解し、物事を捉える視点が大きく変わるから

と書かれています。

世の中には玉石混交の情報で溢れかえっています。その中で60歳以降に豊かな生活を送ろうと思っても何を信じたらいいのか、なかなか簡単にはわかりません。

望んでいるような生活を送るためには、物事を定量的に客観的に事実を理解して、論理的に考えていかなければなりません。

そのために経済学が役に立つというのです。

もう一つ大切なのは「川を上り、海を渡る」ことだといいます。

ここでは、「川」は時代の流れ、歴史を表しています。「上る」とは遡ることです。つまり、謙虚に「歴史に学べ」ということです。

そして、海に囲まれた島国である日本に住んでいる私たちに必要なのは、海の向こうに存在する国々の事例に素直に学ぶことです。それを「海を渡る」と表現されています。

内容的には「需要」と「供給」で「価格」が決まるメカニズムを中心とした経済の一般常識から始まります。

続いて、よく話題になる日本の財政について説明された後、昨年のインボイス導入や今年の6月の定額減税で話題沸騰中の税の基本、それから社会保障の話と著者の持論が展開されています。

続いて、新NISAで注目を集めている個人資産の話、最期に60歳以降に役立つ新しい視点をまとめられています。

読まれると、いずれも賛否両論あるのではないでしょうか。

大切なのは、本を読むという行為を通じて著者と対話することだと思います。

対話がしやすい本として、お勧めの一冊です。

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