2020年度の初任給を4割の企業は引き上げ!という調査結果を人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が公表しました。
調査は1・2部上場企業と過去に初任給調査に回答したことのある産労総合研究所の会員企業から任意に抽出された 3,000社に、2020(令和2)年4月に調査票を郵送で送付し依頼したようです。
回答は 355社でした。
4割の企業が初任給引き上げ、6割弱が据え置き
調査結果によると、
- 初任給を引き上げた 39.7%
- 初任給を据え置いた 56.1%
- 初任給を引き下げた 0.6%
- その他 2.3%
- 無回答 1.4%
でした。
昨年度の調査結果は、
- 初任給を引き上げた 50.6%
- 初任給を据え置いた 48.2%
- 初任給を引き下げた ー
- その他 0.6%
- 無回答 0.6%
でしたので、昨年よりも初任給を引き上げた企業の割合が 10.9ポイント下がり、据え置いた企業の割合が 7.9ポイント上がっています。
昨年は、初任給を「引き上げた」企業の割合が、「据え置いた」企業の割合を20年ぶりに上回ったのですが、2年続けてとはなりませんでした。
初任給を引き上げたのは、人材を確保するため
初任給を引き上げた企業に理由を複数回答で尋ねると、
- 人材を確保するため 65.2%
- 在籍者のベースアップがあったため 37.6%
- 初任給の据え置きが長く続いていたため 10.6%
- その他 9.2%
という回答でした。
人材不足という認識が、初任給の引き上げに繋がったようです。
また、初任給を据え置いた企業に理由を複数回答で尋ねると、
- 現在の水準でも十分採用できるため 49.7%
- 在籍者のベースアップがなかったため 32.7%
- 新卒採用はしないため 9.0%
- その他 8.5%
という回答でした。
初任給の引き上げがここ数年続いていたので、今の水準で採用できるという判断をされているようです。
確かにここ数年、売り手市場ということもあり、初任給の引き上げが続いています。
しかし金額でみると、以前のブログで取り上げたように、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、バブル期は1995年までの10年で5万円も初任給が上昇したのに対し、昨年2019年までのここ10年では1万円強しか初任給は上がっていません。
この金額で本当に充分な金額と言えるのでしょうか?
以前のブログで取り上げた土光敏夫氏の言葉、
賃金を低く抑えようとする努力からは、会社の繁栄はうまれない
という状況に日本の企業は陥っているのではないでしょうか。
思い切って初任給をはじめ、社員の給料を引き上げる。
そのためには、低いと言われる生産性の引き上げに挑戦しなければなりません。
その覚悟が求められているのではないでしょうか。