コロナウイルス感染流行を機に、新卒採用市場は氷河期に突入するのでしょうか?
以前のブログで、株式会社学情が2020(令和2)年4月8日~4月15日の期間にWebアンケートで行った調査結果では、66.1%の企業が当初の計画通りの採用すると回答していることを紹介しました。
共同通信社の調査では、26%の企業が採用数を減らすと回答したといいます。
7割程度の企業が計画通り、3割程度の企業が採用数を減らすようなイメージでしょう。
2022年卒の新卒採用数については、株式会社学情の調査では7割を超える企業が、まだ分からない・検討中と回答しています。
2022年卒の新卒採用市場から再び就職氷河期時代に突入するのでしょうか?
就職氷河期は審査員特選造語賞
就職氷河期とは、1994(平成6)年のユーキャン新語流行語大賞で審査員特選造語賞に選ばれています。
就職氷河期の明確な定義ははっきりせず、複数の説がありますが、バブルが弾けた後、新卒採用市場が大きく冷え込んだ時期を言うのは間違いありません。
日経平均が最高値をつけたのは 1989(平成元)年12月29日、その年の最後の取引日である大納会の 38,915円87銭でした。それからバブルが弾けたのですが、それに合わせるかのように大卒の求人倍率が大きく下がったのでした。
大卒求人倍率を公表しているリクルートワークスの調査結果によると、最も求人倍率が高かったのが 1991(平成3)年3月卒の 2.86倍。それが 1992(平成4)年3月卒になると 2.41倍、1993(平成5)年3月卒 1.91倍、1994(平成6)年3月卒 1.55倍、1995(平成7)年3月卒 1.20倍と大幅に下がっていったのでした。
最も低かったのは、 2000(平成12)年3月卒の 0.99倍。唯一、1倍を下回った年です。
その後、2006(平成18)年3月卒 1.60倍でまた風向きが変わったと言えるでしょう。
大卒求人倍率を見ると、1990年代半ばから2000年代半ばまでが就職氷河期と考えていいでしょう。
コロナウイルス感染流行によって、再び就職氷河期となるのでしょうか。
中小企業にも視野を広げて企業を探そう
最も求人倍率が低かった2000(平成12)年3月卒の企業規模別求人倍率は、従業員 1,000人以上の企業が 0.49倍、1,000人未満が 1.55倍です。
平成最後の2019(平成31)年3月卒では、従業員 1,000人以上の企業の求人倍率が 0.70倍、1,000人未満が 3.97倍です。
バブルの崩壊やリーマンショックがありましたが、従業員 1,000人以上の企業の求人倍率は例外の年も数回あるものの、おおよそ 0.4倍~0.8倍の間に収まります。
売り手市場、買い手市場と言われますが、求人倍率は比較的変化していないのです。
それに対して、従業員 1,000人未満の企業の求人倍率は 1.5倍~4倍と大きく変動するのです。
つまり、大手企業は基本的にいつでも買い手市場で変わらないこと、中小企業の求人数が大きく減少しなければ、数字の上では就職氷河期と言われるような買い手市場にまでなることはないと言えるでしょう。
2020(令和2)年5月20日に商工会議所が公表した「人手不足の状況、働き方改革関連法への対応に関する調査」結果によると、全体の6割を超える企業が人手不足、数年後(3年程度)には人手不足感が増すと半数近い企業が回答しています。
中小企業が多い商工会議所の調査結果を踏まえると、中小企業の人手不足感は強く、業界の差はあるでしょうが、全体としては急に求人数を減らす可能性は低いと思われます。
ですので、2020年3月卒の採用市場よりは厳しくなるでしょうが、就職氷河期のような新卒採用市場にはならないのではないか、と私は推測しています。
採用市場の情報に流されることなく、自分と相性の良い企業を探してください。
そうすれば、きっと納得のできる就活になります。