2020年3月卒の新卒採用が本格化しています。
昨年以上に売手市場になるといわれています。
また、転職市場も売手市場が続いていることは、以前のブログで取り上げました。
その一方で、売手市場といわれている転職市場に転機が訪れるかもしれない、という兆しがあることも、以前のブログで取り上げています。
転職市場の変化の兆しを感じ取った株式会社リクルートキャリアは、この2月より、中途採用市場における求人倍率の公表を取りやめたのです。
なぜ、公表を取りやめたのでしょうか?
中途採用の求人倍率は市場を表していない?
株式会社リクルートキャリアによると、中途採用の求人倍率が現実の中途採用市場を表していないといいます。
どういうことでしょうか?
2019(平成31)年3月11日にdodaエージェントサービスが公表した転職求人倍率レポートを見てみましょう。
このレポートは、株式会社リクルートキャリアと双璧と言っても言い過ぎではない転職支援サービスを行っているパーソルキャリア株式会社が公表しています。
ここでいう転職求人倍率は、dodaエージェントサービスの登録者1名に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出しているようです。
レポートによると、2019(平成31)年2月の求人倍率は 2.13倍ということですので、doda登録者1名に対して、中途採用の求人が 2.13件あるということです。
やはり、数字上はかなりの売手市場(求人数が求職者よりも多い)といえるでしょう。
もう少し詳しく見てみましょう。
求人数は最高値を更新するも、求人倍率は低下
前月と比較すると同じ倍率ですが、実は前年の2月と比較すると マイナス0.4ポイント、つまり下がっているのです。
求人倍率は、求職者数に対する求人数ですから、それぞれ見てみましょう。
2019(平成31)年2月の求人数は前月比 102.4%、前年同月比 103.7%ですので、求人数は増えています。
一方、求職者(転職希望者)は前月比 102.4%、前年同月比 123.1%と大幅に増えています。
求人数も求職者も増えているということは、中途採用市場は増々、盛り上がっているといえるでしょう。
ところが、求人数の増え方よりも求職者の方が大幅に増えたために、求人倍率は下がってしまったのです。
求人倍率が下がるということは、一般的には中途採用市場が落ち着くことを意味しているのに、実際は増々、盛況になっているのです。
この現実をみて、求人倍率が中途採用市場の実態とかけ離れてしまっており、求人倍率を公表する意義がなく、株式会社リクルートキャリアはやめてしまったということです。
実態を表していない数字には注意をしなければいけません。
安易に数字を信じるのではなく、出来る限り元のデータを確認し、自分の頭で考えるようにしましょう。
その習慣が、幸せにつながります。