『日本を殺すのは、誰よ!』日本社会の病と希望の処方箋を提唱!

衝撃のタイトルに込められた深いメッセージ

「日本を殺すのは、誰よ!」——この挑発的でインパクトのあるタイトルに、思わず手を伸ばしてしまった方も多いのではないでしょうか。本書は、AIや教育、地域創生などの分野で数々の実績を持つ新井紀子氏と、金融・経済の視点から日本社会の問題を鋭く指摘し続けてきたぐっちーさん氏の対談と共同執筆によって構成された一冊です。

2018年12月25日に初版が刊行された本書は、発行から6年余り経過した今でも、その内容が古びることはありません。むしろ、日本が抱える課題の本質を突いており、現在の社会状況にも通じる鋭さと普遍性を持っています。

この記事では、『日本を殺すのは、誰よ!』の内容を章ごとに詳しく日本社会が今抱える問題と、それに対する具体的な処方箋についてご紹介いたします。

第1章:崩壊する日本の教育現場と「読解力の危機」

本書の第1章では、教育の問題がクローズアップされています。特に注目すべきは、新井紀子氏が提唱する「リーディングスキルテスト(RST)」の結果です。このテストによって、日本の中高生の読解力が驚くほど低下していることが明らかになりました。

「文章を読んでも意味が理解できない」「指示語が何を指しているか分からない」——こうした子どもたちが増えている現実を受けて、新井氏は『AI vs. 教科書が読めない子供たち』AI時代に取り残されるリスクを警告します。日本の教育がこのままでよいのか。教育改革の必要性が、データに基づいて論理的に語られています。

第2章:女性が活躍できる社会の基盤をどう作るか

第2章のテーマは、女性の社会進出とそれを支える環境整備です。ぐっちーさん氏は、女性が安心して子育てしながら働ける社会を実現するために必要な制度やインフラについて、具体的な提案を行っています。

注目すべきは、「こども誰でも通園制度」といった試みが、彼らの提言と期を同じくして始まった点です。これは偶然なのか、それとも社会が変わり始めた証なのか。いずれにしても、女性活躍の推進が日本再生のカギであるという主張には説得力があります。

第3章:若者が未来に希望を持てる社会を目指して

次に取り上げられるのは、日本の若者の未来です。就職、恋愛、結婚、子育て——あらゆる面で閉塞感を抱える若者たちに、どう希望を取り戻させるのか。

新井氏とぐっちーさん氏は、若者のモチベーションが失われている原因を社会構造の問題と捉え、教育、雇用、所得分配の在り方にまで踏み込んで提言を行います。

「若者が幸せに生きられる社会をつくることが、日本の未来を救う道である」——このメッセージは、令和の今こそ胸に刻むべき言葉ではないでしょうか。

第4章:地域再生・地方創生のリアルな実践

地方から日本を変える。その実践例として紹介されるのが、新井紀子氏が関わった滋賀県米原市でのプロジェクトと、ぐっちーさん氏が取り組んだ岩手県紫波町「オガールプロジェクト」です。

公共投資と民間資金を融合させたオガールプロジェクトは、日本初の試みとして注目されました。地域資源を活かした自立的な地方経済の形成。ここに、日本再生のヒントが詰まっています。

第5章:中高年男性は“使えるオジサン”になれるか?

第5章は少し異色の視点から切り込みます。社会の中心であった中高年男性に対する提言です。バブル世代、団塊世代といった中高年が、変化する社会でどのように適応していくか。

特に印象的なのは「使えるオジサン8ヵ条」。耳が痛くなるような指摘の中にも、変わるためのヒントがちりばめられており、中高年層にとっては必読の章です。

第6章:日本を「殺す」のではなく「生かす」ために

最終章では、ここまでの議論を総括しつつ、問題を乗り越えるためのマインドセットが示されます。「できない理由」ではなく「できる理由」を探す。これは企業経営や教育現場、行政、そして私たち一人ひとりにも共通する重要な思考法です。

また、社会全体が悲観主義に染まりやすい現状に対して、希望を持ち、行動することの大切さが強調されます。

まとめ:今こそ読んでおきたい、日本再生の羅針盤

『日本を殺すのは、誰よ!』は、ただの社会批判本ではありません。データに基づく現状分析と、具体的な解決策がセットで提示されている点に、本書の価値があります。

  • 教育

  • ジェンダー

  • 若者

  • 地方

  • 中高年

この5つの視点から、現代日本が直面している課題を多角的に浮き彫りにし、希望ある未来への道筋を指し示してくれる本書は、まさに「今こそ読むべき一冊」と言えるでしょう。

「日本を良くしたい」「社会を変えたい」と思うすべての方に、心からおすすめします。

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