以前のブログで、最近よく耳にする「2024年問題」を取り上げたことがあります。
改めて一般的に言われる「2024年問題」をまとめますと、例外的に時間外労働の上限規制の猶予が認められている事業・業務(自動車運転の業務、工作物の建設の事業、医業に従事する医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業)において、2024年4月からの時間外労働の上限規制によって発生することが予測されている様々な問題のことをいいます。
実際、ドライバー不足を理由にタクシー事業やバス事業を廃止する会社もあります。
著者である橋本愛喜氏は、実家の工場を受け継ぎ、ドライバーとして配送していた経験もあり、物流にとっての「2024年問題」について、様々な提言をされています。
世間で荷物が届かなくなると騒がれている宅配は、物流にとっての「2024年問題」の本質ではないと主張されています。
物を運ぶ量を一般的にはなじみがないと思いますが「トンキロ」という単位で表します。
「トンキロ」の計算式は、「貨物の重量(トン数)×それぞれの貨物の輸送距離(キロメートル)」です。
ところが宅配については個数で表されることが一般的です。
国土交通省の公表した資料によると、令和4年度の宅配取扱個数は50億588万個だったようです。
膨大な量には違いありませんが、橋本愛喜氏によると宅配の量を「トンキロ」単位に換算すると、日本全体の物流量の約7%に過ぎないといいます。
ですから、テレビ等を始めとするマスメディアが、「2024年問題」を取り上げるときに、宅配の荷物が手元に届かないことをクローズアップしますが、それでは「2024年問題」の本質を理解してもらえない、と主張されているのです。
ドライバーの時間外労働が上限規制されて荷物が運べなくなるなら、運ぶドライバーの人数を増えせば問題は解決できると考える方々は多いと思います。
そこで、国土交通省が打ち出したのが、「トラガール」促進プロジェクトなのです。
固定的な男女役割分担意識や過去の経緯から極端に女性が少ない業界や職種、職場は確かにあります。
そこには、女性が活躍するために乗り越えなければならない大きな壁や崖があります。
その壁や崖を乗り越えて女性が活躍しやすい環境づくりを進めようと、厚生労働省は「ポジティブ・アクション」を推奨しています。
「トラガール」促進プロジェクトは、「ポジティブ・アクション」と言えるのでしょうか。
私は寡聞だからでしょう。「〇〇ガール」という施策を「ポジティブ・アクション」として行っている事例を「トラガール」以外は聞いたことがありません。
物凄い違和感、嫌悪感を感じます。
みなさんは、どう思いますか。
やはり現場を知っている人が声を上げ、知恵を集めないと、明らかにズレた施策になってしまうのではないでしょうか。
何が本当に問題なのか。
じっくりと考えるためにお勧めの一冊です。