自分の考えや思いを相手に伝えることができないために、イライラしたり、ガッカリしたことはありませんか?
おそらく一度も、そんな経験したことがないという人はいないのではないでしょうか。
自分の考えや思いを相手に伝えられるように言語化したいという人にお勧めの一冊です。
著者である山口拓朗氏は、出版社で編集者・記者を経験された後、配偶者の産後うつをきっかけに時間の融通の利くフリーランスとして、延べ1万人以上の方々に、伝え方や文章の書き方を指導されているそうです。
まず、著書の中で「言語化力」を
頭の中にある考えや思い、情報などを的確に言葉にし、相手にわかりやすく伝える力のこと
と、定義しています。
この著書を通じて目指すゴールを明確にされています。
多くの書物が相手にいかに伝えるか、ということに焦点を当てて書かれている中で、伝え方だけではなく、「言語化力」を上げるために3STEPの段階を設けて説明されているのが特徴的です。
著者が提唱されている3STEPの最初のSTEPは「語彙力」を伸ばすこと、次のSTEPは「具体化力」を鍛えること、最期のSTEPは「伝達力」を磨くことです。
特に大切なのは、脳内を整理し「具体化」することだと著者は主張されています。相手に「いかに」伝えるかを考える前に、「何を」伝えるかが重要だというのです。いくら伝え方が上手くなったとしても、内容が伴っていなければ相手には伝わらないということでしょう。
この著者の「具体化」が大切だという提唱に興味深かったことと、もう一つ、私が読んでみようと思ったきっかけがあります。
それは、表紙に書かれていた「ChatGPTを使った言語化トレーニング付き!」という言葉です。
ChatGPTの素晴らしさはいろいろな人が発言したり、出版されたりしています。同時に、様々な課題も指摘されています。課題はあるにしても、もう生成AIが進化していくのは止められないのではないか、と私は思っています。
そうであるならば、いかにして生成AIを活用していくのか、どうすれば共存できるのか、ということを前向きに考えるべきです。
ですから、ChatGPTを活用して、「語彙力」「具体化力」「伝達力」を鍛え、総合的に「言語化力」を上げようという、山口拓朗氏の提唱に心を動かされたのです。
以前のブログで、AIに勝つためには「読解力」が重要という新井紀子氏の著書を取り上げました。
書かれたときには、まだ生成AIは世に出ていませんでしたが、つい先日のお話を伺ますと、「読解力」がAIに勝つ、あるいは共存するために重要だという提唱は変わっていませんでした。
AIと共存するために「言語化力」や「読解力」が必要であり、その力はAIを活用することにより引き上げられるのではないでしょうか。
人生100年時代を迎え、AIの効果的な活用に積極的に挑戦して行きたいと思います。