2018(平成30)年9月3日に経団連の中西宏明会長が開いた記者会見で、就職活動の時期などを定めた「就活ルール」の廃止に言及してから、マスコミ、企業、大学を中心に大騒ぎになっています。
以前のブログで、インターンシップが拡充されてきた今、就活ルールが意味を持たなくなっており、いずれ見直されるであろう、と書きました。
また、経団連とは、「一般社団法人 日本経済団体連合会」の略称であり、
- 主に歴史のある大企業が加盟していること
- 外資系企業や近年急成長してきたIT系企業は加盟していないこと
- 加盟していない企業は、経団連の定めているルールを守る義務はないこと
も、そのブログでは書きました。
つまり、もともと就活ルールを守らなければいけないのは、ごく一部の大企業だけだったのです。
そもそも就活ルールとは?
「新規学卒者の採用は決められた日以降に行う」という初めての就活ルール(採用協定)が結ばれたのは、何と1928(昭和3)年だといいます。
それ以来、何度も見直され、廃止されていた時期もありました。
最近でも、選考開始は、
- 2015(平成27)年春卒業:大学4年時の4月
- 2016(平成28)年春卒業:大学4年時の8月
- 2017(平成29)年春卒業以降:大学4年時の6月
- 2021年春卒業以降:未定
と、見直しを繰り返してきました。
そして、ついに就活ルールの廃止を検討することを経団連の中西宏明会長が言及したのです。
なぜ、「就活ルール」の廃止が検討されるのでしょうか?
ところで、なぜ、今回は、廃止を検討することになったのでしょうか?
報道されているように、おそらく、外資系企業やIT企業に代表される経団連に加盟していない企業に先に優秀と思われる就活生を採用されてしまうからでしょう。
背に腹は代えられぬ、ということでしょう。
経団連に加盟している大企業も早く確実に欲しい人材を採用したい、ということでしょう。
それに対して、日本商工会議所の三村明夫会頭は、9月6日に「就活ルール」廃止に反対を表明しました。
中小企業がますます人を採用できなくなることを懸念しているのです。
中小企業の採用に与える影響は?
以前のブログで、リクルートワークス研究所が発表した 2019(平成31)年卒の大卒求人倍率において、従業員が300人未満の企業(いわゆる中小企業)では、9.91倍と過去最高になったことを取り上げました。
この倍率の中で、中小企業は、経団連に加入している大手企業が活動を始める前に内定を出して他の企業に逃げられないように囲い込んでしまうか、大手企業が採用活動を終了してから採用を始めるという二つの戦術を使い分けて採用活動を行っています。
それが、就活ルールが廃止されると、中小企業が採用活動をする時期が無くなってしまうというのです。
中小企業はどのような採用活動をすればいいのでしょうか?
一つの解答として、以前のブログでは、同じ地域の複数の企業が集まって採用することを取り上げました。
複数の企業が一つの企業のように、長期インターンに始まる採用活動から入社後の教育、あるいは人事異動まで行うのです。
そうすれば、早期離職者が多いという中小企業の問題を解決することができます。
日本では大企業よりも中小企業で働く人の方が圧倒的に多いのです。
中小企業が元気になれば、幸せを感じる日本人は増えるはずです。
ぜひ、これから社会人になるみなさんは、中小企業にも目を向けてください。
そこには、あなたにとって、最も相性のいい企業と出会え、幸せになれる可能性があるのです。