以前のブログで、日本の企業では社員の「和」を大切にしており、その精神は、聖徳太子の時代から現代まで絶えることなく受け継がれている、と書きました。
聖徳太子の時代から、日本人が最も大切にしてきたことについて、改めて考えてみましょう。
聖徳太子が制定したといわれている憲法十七条の第1条を取り上げます。
憲法十七条の第1条の出だしは?
中村元氏が書かれた『中村元選集[決定版] 別巻6 聖徳太子 日本の思想Ⅱ』(春秋社)から引用させていただきます。
憲法第十七条の出だしの書き下し文は、
一に曰く、和をもって貴(とうと)しとし、忤(さから)うことなきを宗(むね)とせよ。
現代語に訳すと、
お互いの心が和らいで協力することが貴いのであって、むやみに反抗することのないようにせよ。それが根本的態度でなければならない。
となります。
以前のブログでは、この書き出しの文章を引用して、日本の企業では「和」が最も大切であり、日本の人事が採用したい人は、一緒に働きたい人と書かせていただきました。
ここまでの文章は教科書にも載っており、みなさん、知っていると思います。
しかしもっと大切なことは、この続きにこそあるのです。
憲法十七条第1条の続きは?
続きを引用します。
人みな党(たむら)あり。達(さと)れる者少なし。ここをもって、あるいは君父(くんぷ)に順(したが)わず。また隣里に違(たが)う。しかれども、上和(かみやわ)らぎ、下睦(しもむつ)びて、事を、論(あげつら)うに諧(かな)うときは、事理(じり)おのずから通ず。何事成らざらん。
現代語に訳すと、
ところが人にはそれぞれ党派心があり、大局を見通している者は少ない。だから主君や父に従わず、あるいは近隣の人びとと争いを起こすようになる。しかしながら、人々が上も下も和らぎ睦まじく話し合いができるならば、ことはおのずから道理にかない、何事もなしとげられないことはない。
となります。
話し合えば、すべてがうまくいく?!
簡潔にいうと、人はつねに争いを引き起こすというのです。しかしながら、仲よく話し合うならば、争いは収まり、うまくいくことになります。
建設業界は何度も逮捕者を出しています。最近では、百貨店の配送料が摘発されました。
それなのに、なぜ、日本では談合が無くならないのでしょうか?
日本人の生産性が低い理由として、日本の企業は無駄な会議が多い、会議に出席する人が多い、会議の時間が長い、ということがいわれます。
問題があると思っているのに、なぜ効率的な会議ができないのでしょうか?
その答えは、仲よく話し合えばうまくいく、という「話し合い至上主義」を聖徳太子の時代から現代まで、日本人は最も大切にしているからです。
みなさんは、どう思われますか?
日本人は「話し合い至上主義」と思って、周りを見てみてください。
思い当たることは多いのではないでしょうか?
それぞれの人の主義を知り、お互いに理解すること。
それが幸せにつながっていくのです。