今年の就活が始まって2ヵ月が経とうとしています。
以前のブログで「新卒一括採用は続けるべき!」と書きましたが、やっぱり続けるべきだ、とある本を読んで思いました。
それが、海老原嗣生氏が書かれた『お祈りメール来た、日本死ねー「日本型新卒一括採用」を考える』(文春新書)です。
海老原嗣生氏は、何回か取り上げていますが、火曜日の日本経済新聞夕刊に「就活のリアル」というコラムを交代で担当されています。とても参考になると思いますので、ぜひ読んでみてください。
日本型雇用で最も誇れるのは、新卒一括採用!?
以前のブログで海老原嗣生氏の別の本を取り上げました。その中で、新卒一括採用は、日本型雇用の最も優れているところの一つとして書いてありますので、ぜひご覧ください。
同じ趣旨で、この本の中では、
世界でも稀な日本企業の「新卒一括採用」はこれまた世界でも稀な「無限定雇用」そしてそれに発する「企業の人事イニシアチブ」が三位一体となってできた、魔法の人員補充策だ。
と述べられています。
とはいえ、完璧な雇用制度はありませんので、日本型雇用にも問題はあります。
一つは、前回取り上げているブラック企業の問題であり、もう一つの問題は、規模の小さい企業の採用や早期離職に端的に表れているのです。
規模の小さい企業の採用の難しさとは?
規模の小さい企業にとって採用の難しさは「選べない」ということです。
以前のブログで、規模別の求人倍率を書きましたが、2018(平成30)年卒の新卒については、従業員規模5,000人以上の企業は0.39倍、300人未満の企業は6.45倍になっていました。
つまり、従業員規模5,000人以上の企業であれば、応募者3人の中から、自社に合いそうな人を1名選ぶことができるということです。
逆に従業員規模300人未満の企業では、7名採用したくても1名しか応募がないということです。応募してもらえれば、すぐにやめるような気がしても、とにかく採用するということになってしまいます。
規模の小さい企業で早期離職者が多いのは?
一つ目の理由として、先に書いたとおり、すぐにやめるような気がしても、採用せざるを得ないということがあります。
もう一つの理由は、例えば仕事が合わないとか、人間関係に悩んでいるという時に、規模の大きい企業であれば、異動させることによって解決できることがあります。また同期入社の社員も多いので、相談し合ったり、励まし合ったりすることもできます。
しかし残念ながら、規模の小さい企業では、異動させることもできませんし、同期入社の社員もほとんどいません。そのために退職という選択をする人がどうしても多くなってしまうのです。
規模の小さい企業の対応策は?
規模の小さい企業1社で解決が難しければ、複数の企業が一つになって解決することができるのではないでしょうか。
1社であれば1人しか応募がなくても、30社が集まれば30人の応募者が集まり、自社にあった就活生と出会える可能性が高くなります。
複数の企業が集まれば、企業を超えた異動も同期入社もできます。
そうすれば、規模の小さい企業が直面している日本型雇用の一つの問題点が解決できます。
新卒一括採用を継続しながら、日本型雇用の問題点の解答を見つけることは可能であるし、それが目指すべき道なのです。