あなたは「仕事をしたつもり」になっていませんか?
この問いは、私が日々の業務の中で自分自身に何度も問いかけている言葉です。なぜなら、限られた時間の中で真に価値ある成果を出すためには、「仕事をしたつもり」という自己満足から抜け出す必要があるからです。
以前に取り上げた『人事の企み』の著者である海老原嗣生氏の『仕事をしたつもり』から学びました。
日本の生産性はなぜ低いのか?
公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2021年版」によれば、日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たりの付加価値)は49.5ドル。OECD加盟38カ国中23位、主要先進7カ国の中ではなんと最下位という結果でした。
このデータは、単に働く時間を減らすだけではなく、「どう働くか」が問われていることを意味しています。つまり、“働き方改革”を本当に効果あるものにするには、表面的な改革だけでなく、仕事に対する意識やアプローチを根本から見直す必要があるのです。
「仕事をしたつもり」になっていませんか?
「仕事をしている」と思っているその行動、本当に価値を生み出していますか? 以下のような行動を見かけたり、自分自身がしているとしたら、それは「仕事をしたつもり」かもしれません。
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何十枚も資料を作って満足している
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話題のビジネス書を読んで、何かをやった気になっている
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チームで議論するだけで、行動に移せていない
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成功している企業の表面だけを真似している
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「お客様は神様」という精神を鵜呑みにして、自分の価値を下げている
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新しい挑戦を避けて、現状維持に甘んじている
これらは一見、前向きな行動に見えるかもしれません。しかし、実際には「考えずに動く」「周りと同じことをして安心する」といったマインドが背景にあることが多く、結果として“成果”にはつながりにくいのです。
「仕事をしたつもり」になる理由とは?
なぜ私たちは「仕事をしたつもり」になってしまうのでしょうか?
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自分で考えるより、周りに合わせた方が楽だから
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他人と同じことをしていれば責任を問われにくいから
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長時間働いていれば評価されるという風潮があるから
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行動すること自体が目的になってしまっているから
このような理由から、私たちは無意識のうちに“形だけの仕事”に時間を費やしてしまうのです。結果として、労働時間は長いのに成果が出ないという悪循環に陥ってしまいます。
本当の生産性とは「少ない時間で最大の成果を出す」こと
働き方改革とは、単に残業を減らしたり、テレワークを導入したりすることではありません。真の目的は「生産性の向上」にあります。つまり、より短い時間で、より大きな価値を生み出す働き方が求められているのです。
そのためには、以下の3つの視点が重要です。
1. 目的を明確にする
仕事を始める前に「この作業は何のためにやるのか?」「本当に必要なのか?」を明確にすることで、ムダな作業を排除できます。資料を作るにしても、誰が読むのか、どんな行動を促したいのかを明確にすることで、不要なボリュームを減らすことができます。
2. 自分で考えて行動する
誰かの指示を待つのではなく、自分の頭で考えて最適なアクションを選ぶ。これこそがプロフェッショナルとしての働き方です。流行に乗る前に「それは自社にとって有効か?」を自問する姿勢が求められます。
3. 小さくてもいいから挑戦を続ける
変化の激しい時代において、現状維持はリスクです。毎日少しでも新しい試みを取り入れることで、組織も個人も成長します。たとえば、会議の進め方を変えてみる、ツールを導入して作業時間を短縮するなど、小さな一歩が大きな成果につながります。
生産性を高めたい人へ。今こそ「仕事をしたつもり」から脱却を。
あなたが今、働き方改革に取り組んでいるなら、または業務効率を改善したいと考えているなら、「仕事をしたつもり」になっていないかを一度振り返ってみてください。
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その資料、本当に必要?
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その会議、目的は明確?
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その努力、成果に結びついている?
この問いを常に自分に投げかけることで、自然と本質的な働き方が身についていきます。短時間で成果を出せる人は、決して努力を怠っているわけではありません。ただ「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」の見極めができているのです。
まとめ:成果を出す働き方は「考える」ことから始まります
「働き方改革」「生産性向上」という言葉が飛び交う現代において、最も重要なのは、自分で考える力です。思考を止めず、「何が価値を生むのか?」を問い続けること。それこそが、これからの時代に必要な“本当の仕事力”ではないでしょうか。
あなたも今日から、「仕事をしたつもり」から一歩抜け出して、本当の成果を出す働き方にシフトしてみませんか?