2020年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は 1.83倍と前年より下落していますが、それでも2010年卒以降で2番目の高水準になったようです。
調査は株式会社リクルート内の研究機関であるリクルートワークス研究所が行っています。
この調査における大卒求人倍率とは、民間企業への就職を希望する学生1人に対する企業の求人状況を算出したもので、「求人総数÷民間企業就職希望者数」で求めています。
前年の調査結果の中では、何といっても中小企業の大卒求人倍率が 9.91倍と過去最高になったことを取り上げました。
今年はさらに過去最高を更新したのでしょうか?
中小企業の大卒求人倍率が 8.62倍と 1.29ポイントも低下
今年の調査結果を従業員規模別にみてみると、従業員 300人未満の中小企業の大卒求人倍率は 8.62倍と前年の過去最高 9.91倍から 1.29ポイントも低下しています。
従業員 5,000人以上の大企業の大卒求人倍率は 0.42倍と、前年の 0.37倍から 0.05ポイント上昇しています。
とはいえ、大企業希望者3人に対して1人の求人ということになりますから、大企業への就職は、かなり難しいことであるのは間違いありません。
大企業の大卒求人倍率が上がったのは、求人総数が 51,800人(前年+400人)とほぼ前年並みなのに対し、就職希望者数が 123,000人(前年▲15,500人)と大幅に減少したためです。
就職希望者数が減少した理由は推測になりますが、求人数も多く就活生の人気も高かった大手銀行が大幅に従業員を減らすことが大きく報道された影響ではないでしょうか?
せっかく苦労して入社しても、社内での競争が激しいうえに、経営状況によっては簡単にリストラされるかもしれない、大手企業も決して安泰ではない、と思った人が多かったのではないでしょうか。
それでは、なぜ中小企業の大卒求人倍率は下がったのでしょうか?
なんと中小企業の求人数は減少!
求人数を規模別にみてみると、従業員 5,000人以上の企業は 51,800人(前年+400人)、1,000人以上4,999人以下の企業は 144,300人(前年+1,300人)、300人以上999人以下の企業は 159,600人(前年+3,400人)と、前年より微増となっています。
それに対して、従業員 300人未満の企業は 449,000人(前年▲13,900人)と減少しているのです。
中小企業の求人数が減少した理由はいろいろあるとは思いますが、私が一番の原因だと思うのは、新卒採用は「ヒト・カネ・ジカン」がかかり過ぎることです。
採用専任者をおけない中小企業にとって、新卒採用のハードルが上がり過ぎたため、求人数が減ってしまったのではないでしょうか。
中小企業の就職希望者数が11.6%増加!
従業員 300人未満の企業への就職希望者が 52,100人と前年より 5,400人、率にして 11.6%も増加しています。
分子の求人数が減少し、分母の就職希望者が増加したことにより、中小企業の大卒求人倍率は低下したのです。
しかしながら、4年前の2016年3月卒では 112,100人、3年前の2017年3月卒では 98,500人も就職希望者がいたことを考えると、まだまだ少ないです。
そのため、前年よりは低下したものの、まだまだ大卒求人倍率は高水準です。
ぜひ、就活生のみなさんは企業規模にこだわり過ぎることなく、出来る限り視野を広くして、多くの企業を訪問してください。
そうすれば、あなたと相性の良い企業が見つかる可能性が高くなります。