2018(平成30)年9月11日の日本経済新聞朝刊の社説に、「企業は「心の病」対策を急げ」という記事が掲載されました。
「心の病」にかかっている、働く人は多いのでしょうか?
厚生労働省が、平成29年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、2018(平成30)年7月6日に公表しています。
厚生労働省の公表資料を見てみましょう。
「心の病」による労災補償状況は増えているのでしょうか?
公表されている資料では、
- 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
- 精神障害に関する事案の労災補償状況
- 裁量労働制対象者に関する労災補償状況
と、なっています。
裁量労働制対象者は非常に人数が少ないので、脳・心臓疾患に関する事案と精神障害に関する事案を比較してみましょう。
労災補償の支給決定件数は、
- 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償 253件(前年比 ▲7件)
- 精神障害に関する事案の労災補償 506件(前年比 +8件)
と、なっています。
今では、精神障害に関する事案の方が多いのです。
どのような業種で労災補償は多いのでしょうか?
次に、業種別に見てみましょう。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償の業種別の支給決定件数は、
- 運輸業、郵便業 99件
- 卸売業、小売業 35件
- 宿泊業、飲食サービス業 28件
の順に、多くなっています。
精神障害に関する事案の労災補償の業種別の支給決定件数は、
- 製造業 87件
- 医療、福祉 82件
- 卸売業、小売業 65件
の順に、多くなっています。
脳・心臓疾患に関する事案と精神障害に関する事案では、件数の多い業種がかなり違っています。
いわゆる第三次産業、サービス業が目立つ中で、製造業が精神障害に関する事案が最も多いのは不思議な感じがします。
それでは、職種で比較すると?
次に、職種で比較してみましょう。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償の職種別の支給決定件数は、
- 輸送・機械運転従事者 89件
- サービス職業従事者 36件
- 販売従事者 29件
の順に、多くなっています。
精神障害に関する事案の労災補償の職種別の支給決定件数は、
- 専門的・技術的職業従事者 130件
- サービス職業従事者 70件
- 事務従事者 66件
の順に、多くなっています。
少し乱暴なまとめ方ですが、脳・心臓疾患に関する事案については肉体的負荷が、精神障害に関する事案については精神的負荷が大きく影響しているような印象を受けます。
精神障害は、若くても発生している!
年齢別の比較を最後に見てみましょう。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償の年齢別の支給決定件数は、
- 40~49歳 97件
- 50~59歳 97件
- 60歳以上 32件
の順に、多くなっています。
精神障害に関する事案の労災補償の年齢別の支給決定件数は、
- 40~49歳 158件
- 30~39歳 131件
- 20~29歳 114件
の順に、多くなっています。
脳・心臓疾患に関する事案については体力的に衰えを感じる50歳以上の方が51%と過半数を占めています。
それに対して、精神障害に関する事案は40歳未満で50%と半数を占めています。40歳代を加えると80%を超えてしまいます。
10代でも精神障害に関する事案で労災補償を受けている人がいます。
働き始めたら、誰もがいろいろなプレッシャーを感じるでしょう。
それは、決して若さだけでは乗り切れないのです。
疲れたな、しんどいなと感じる前に休憩して、気分転換してください。
決して自分だけは大丈夫などとは、思わないでください。
以前のブログで書きましたが、就寝前に、その日に起こった出来事の中で、楽しい思い出を思い浮かべてください。
そうすれば、就寝中にその出来事が脳にしっかりと記憶され、次の日の朝は気持ちよく起きることができます。
それだけで、きっと精神的には落ち着くことができます。
幸せになるための身近な一歩目です。