企業がハローワークに報告しなければならないものは、いろいろあります。
その中の一つに、障害者雇用状況報告書があります。
障害者雇用状況報告書とは?
従業員が 45.5人以上の企業は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況をハローワークに報告する義務があります。
毎年、報告時期になると、対象となる企業には報告用紙が送られてきます。
その用紙に必要事項を記入のうえ、毎年、7月15日までにハローワークに提出しなければなりません。
なぜ、従業員 45.5人以上の企業?
障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる「共生社会」の理念の下、企業には、一定の割合で障がい者を雇用する義務が障害者雇用促進法43条に定められています。
この制度を障害者雇用率制度といい、一定の割合のことを法定雇用率といいます。
2018(平成30)年4月1日に、民間企業は 2.0%から 2.2%へと法定雇用率が引き上げられました。
全従業員数を仮にX人とすると、障害者を1人以上雇用しなければならない企業の従業員数は、以下のようにして求められます。
- 全従業員 X人 × 法定雇用率 2.2% ≧ 1人
- 全従業員 X人 ≧ 1人 ÷ 法定雇用率 2.2%
- 全従業員 X人 ≧ 45.454545…人
- 全従業員 X人 ≧ 45.5人
それでは、もし、企業がこの法定雇用率を守らなければどうなるのでしょうか?
法定雇用率未達成の場合は行政指導も!
法定雇用率が未達成の場合、行政指導の対象になることがあります。
行政指導の基準として、例えば、
- 障害者の雇用率が全国平均以下で、かつ障害者の不足数が5人以上
- 障害者の不足数が10人以上
- 障害者の法定雇用人数が3人または4人であるが、障害者の雇用が0人
等が目安となるようです。
行政指導として、まず、10月31日までに「障害者雇入れ計画作成命令」が発出され、12月15日までに「障害者雇入れ計画書」を提出しなければなりません。
「障害者雇入れ計画書」は、翌年1月1日から2年間の計画になります。
2年間の計画を実施後、基準を満たしていない場合は、労働局の特別指導があります。
企業の代表者が労働局に出頭し、指導を受けることになります。
それでも、まだ基準を満たすことができないと、企業名の公表となります。
大阪府にはハートフル条例も!
大阪府独自に障害者雇用を促進するために、ハートフル条例があります。
対象となるのは、
- 大阪府と契約を締結した企業
- 大阪府の補助金の交付決定を受けた企業
- 大阪府の公の施設の指定管理者の指定を受けた企業
です。
法定雇用率を下回っている場合、ハローワークとは別に大阪府にも2年間の雇入れ計画書を提出しなければなりません。
計画終了時点で企業の責めに帰すべき事由により未達成と判断された場合は、やはり企業名が公表されます。
さらに、一定期間、補助金の交付を受けれない、指定管理者になれない等企業活動に制限が課せられます。
障害者雇用は障害者のためだけに行うことではありません。
誰もが生き生きと働き、自立した生活を送れるような社会を実現するために行うのです。
みんなが幸せになれるように。