2018(平成30)年4月8日の日本経済新聞朝刊に「生産性高まらぬ雇用増ー低賃金のサービス業 集中」という記事が掲載されていました。
2012(平成24)年にアベノミクスといわれる経済政策が行われてから、日本の雇用は168万人も増えたといいます。
このところ1年間の出生数が100万人程度です。この2012(平成24)年から2016(平成28)年までの4年間で1年間に生まれる赤ちゃんの1.6倍も雇用が増えたのです。
全体として雇用は増加していますが、全業界で一律に増加しているわけではないようです。
もう少し詳細に見てみましょう。
大きな偏りが表れています。
内閣府が発表した国民経済計算年次推計によると、2012(平成24)年から2016(平成28)年までの4年間で増えた就業者を年齢別でみると、増加の94%分は65歳以上のようです。
性別でみると増加の82%は女性とのことです。
政府は雇用延長を法律で定めました。また、ここ数年間は女性が活躍できる社会づくりを提唱しています。
それらの政策の効果が、雇用の増加につながったといえるのではないでしょうか。
それでは、業界(事業内容)でみると、どのような特徴があるでしょうか。
この4年間で増えた就業者の6割を介護事業などの保健衛生・社会事業が占めたようです。増加した168万人の6割ですから、この事業だけで100万人もの就業者が増えたことになります。
また、事務代行などの業務支援サービス業では76万人増え、宿泊・飲食サービス業も12万人増えています。
その一方で、これまで日本の経済を支えてきた製造業においては、就業者が28万人も減ったといいます。
就業者の増加を見てみると、この4年間で業界別の就業者数が大きく変化してきていると言えるでしょう。
この変化によって、何か問題が発生するのでしょうか。
賃金の低い業界への就業者が増えています
日本経済新聞の記事によると、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から年収を推計すると、製造業は503万円、宿泊・飲食サービス業は349万円、介護事業は348万円になるといいます。
ということは、平均賃金の比較的高い製造業から、低い宿泊・飲食サービス業や介護事業に就業者が異動していることになります。
雇用の数という「量」は増えたけれども、収入という「質」の面では決して満足のいくものではないといえるでしょう。
それでは、「質」を底上げするには、どうすればいいのでしょうか?
入るを量りて出ずるを成す!
「質」をあげるためには、生産性をあげるとか、付加価値をあげることが必要と言われます。
生産性とか、付加価値と言われると分かりにくいかもしれませんが、言い換えるならば「入るを量りて出ずるを成す」ことです。
つまり、事業としての売上を増やし、一方で費用を削減することによって、社員に支給できる原資(キャッシュ)を増やさなければなりません。
それができれば、雇用が増えることと、みんなの幸せがつながるのです。