就活生の皆さんにとっては、企業へのエントリーが始まってから1ヵ月半が経とうとしています。
また、様々な理由で第二新卒として就職活動をされている人もおられると思います。
就職先を決めるうえで、いわゆるブラック企業には入りたくないでしょう。
ではなぜ、ブラック企業は生まれるのでしょうか?
どのようにすれば、見分けることができるのでしょうか?
その疑問の答えを求めて、海老原嗣生氏が書かれた『日本で働くのは本当に損なのかー日本型キャリアVS欧米型キャリア』(PHPビジネス新書)を読んでみました。
日本の正社員の働き方の特徴は?
ブラック企業について考える前に、まずは、日本の正社員の働き方について見てみましょう。
日本の正社員の働き方を決定している根本的な公理として、海老原嗣生氏は、
- 給与は、「仕事」ではなく「人」で決まる
- 正社員とは誰もが幹部候補であり、原則、出世していく
という2つをあげられています。
正社員の誰もが幹部候補として、人事主導で、年代に応じたステップアップを与えられ、いつの間にか熟練者に育てられる、いわゆる「茹でガエル」方式がとられているといいます。
この方式であれば、大量に未経験者を採用しても、時間をかけて、いつの間にか戦力化できるということです。そのため、新卒一括方式がとられているのです。
職務経験がない新卒者でありながら、新卒一括採用のおかげで就職することができ、しかも、人事(企業)が主導でステップアップできるように道筋を作ってくれるおかげで知らず知らずのうちに一人前の社会人に成長できる、というまさにこのことが、日本型雇用の最も優れているところなのです。
一方で、この「日本型雇用を最大限、悪い方向に利用した負の副産物」こそが、ブラック企業であると、著者の海老原嗣生氏は述べられています。
ブラック企業とは、どのような企業でしょうか?
ブラック企業とは?
海老原嗣生氏が述べられている、ブラック企業が利用している日本型雇用の特徴をまとめると以下のようになります。
- 若いときには安く働かせる
- 未経験で雇う分、基礎を学んでいくという名目で、最初は雑務を押し付ける
- 将来、全員出世するのだから、と注意喚起されて、長時間労働を課す
- 年配者は、高給で楽な仕事をしていても当たり前という風潮がある
- 辞令1つで、北から南へ異動させられても文句を言わさない
日本型雇用の問題点をまとめるならば、若年層はこき使われ(=ハラスメント)、年配者(熟年者)には高給で働かない人が多い、ということになるでしょう。
それでは、ブラック企業をどのように見分ければいいのでしょうか。
ブラック企業を見分ける有力な手法は?
ブラック企業を見分ける有力な手法は、入社3年目と10年目の担当する仕事の大きさ(金額)が、どれくらい大きくなっているかを比較すること、と海老原嗣生氏は述べられています。
入社3年目と10年目を比較して、担当する仕事の大きさ(金額)が
- 2倍にもならない⇒ブラック企業の要素がある
- 管理職になっている⇒それだけ底が浅い⇒ブラック企業の要素がある
- 管理職ではないが、5倍以上になっている⇒下積みが生きる企業⇒ブラック企業ではない
ということです。
ぜひ、ブラック企業を見分けるための一つの方法として活用してください。