「メンバーシップ型」でも「ジョブ型」でもない「自営型」働き方を!

組織に属しているか否かにかかわらず、半ば自営業のようにある程度まとまった仕事を一人でこなす働き方

著者である太田肇氏が提唱する「自営型」働き方です。

岸田総理を議長とする新しい資本主義実現会議で令和5年5月16日に決定された三位一体の労働市場改革の指針に見られるように、「ジョブ型」人事は政府が旗振りをし、経営者および人事関係者のバズワードになっています。

三位一体の三位は、「リ・スキリングによる能力向上支援」「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成長分野への労働移動への円滑化」です。要約すると、企業を超えた横断的に職務基準を明確にし、一人ひとりが学び直して能力を向上させ、成長分野に移動しましょう、というのが政府のメッセージでしょう。高度成長期にマッチした「メンバーシップ型」人事から、「ジョブ型」人事への転換を政府が求めているというのが、私なりの解釈です。

「ジョブ型」人事では、職務内容や役割、責任範囲や給与額等を明確に記述している職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づき、会社と個人で雇用契約書を締結します。「メンバーシップ型」人事は、逆に職務内容も役割も責任も、全て曖昧です。組織の中にいる人に仕事を割り当てるのが「メンバーシップ型」、組織に仕事が結びついていて、仕事に人を割り当てるのが「ジョブ型」と言えるのではないでしょうか。

「メンバーシップ型」を否定し、「ジョブ型」を進めようとする政府、大企業に対して警鐘を鳴らす一冊です。

私が社会人になって人事担当者としてデビューしたころ、成果主義人事が大流行でした。その後、コンピテンシー人事も一世を風靡しました。役割にスポットを当てた人事もありました。いずれも一時の流行に終わってしまいました。「ジョブ型」人事も同様な結末になるのではないか。そして、最終的に定着するのは「自営型」人事、というのが著者の主張だと理解し、私は共感しました。

それでは何をすればいいのか、が問題になります。会社に所属する人事担当者としてすべきこと、個人としてすべきことがあると思います。まずは、私個人が「自営型」働き方を目指すべきでしょう。その一つの方法が副業といえます。そして、自分の行動結果を良い点も悪い点もフィードバックし、改善を継続していく。それが、個人にとっても、組織にとっても、最初の一歩になるに違いありません。

みなさんも、まずは最初の第一歩を踏み出しましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする