2020年3月卒新規学卒者で 174人が内定取消し、1,210人が入職時期を繰下げられた、という調査結果を厚生労働省が公表しました。
企業が新規学卒者の内定取消しや入職時期の繰下げを行う場合、ハローワークに通知する必要があります。
厚生労働省が、それらの通知内容とハローワークからの報告を集計した結果です。
内定取消しは新型コロナウイルス感染拡大の影響も
多くの新規学卒者は4月1日付で企業に入社し、新社会人として第一歩を踏み出します。
今年の4月頃というと、2月末に新型コロナウイルス感染拡大防止のために小中高に休校要請、北海道が独自に緊急事態宣言を出し、3月にWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的大流行)宣言、4月7日には7都府県に緊急事態宣言発令、16日には全国に拡大されました。
日本だけでなく世界中であらゆる活動が制限されました。
新型コロナウイルス感染拡大によって、将来の見通しが立たなくなり、内定取消しや入職時期の繰下げをせざるを得なかった企業もあるはずです。
その結果として、内定取消しが昨年の5倍と報道する新聞もありました。
昨年の5倍もリーマンショック後に比べると1割未満
内定取消し 174人は、昨年の35人に比べると約5倍と大幅に増えています。
5倍に増えたことを強調し、悲観的ムードを煽る報道が目につきました。
もう少し長い期間で見てみましょう。
- 2020年3月卒業 174人(76事業所)
- 2019年3月卒業 35人(23事業所)
- 2018年3月卒業 73人(22事業所)
- 2017年3月卒業 86人(24事業所)
- 2016年3月卒業 82人(32事業所)
- 2015年3月卒業 60人(29事業所)
- 2014年3月卒業 54人(31事業所)
- 2013年3月卒業 76人(39事業所)
- 2012年3月卒業 101人(53事業所)
- 2011年3月卒業 598人(196事業所)
- 2010年3月卒業 163人(63事業所)
- 2009年3月卒業 2,143人(447事業所)
2011年3月卒業は東日本大震災、2009年3月卒業はリーマンショックのために、多くの新規学卒者が内定取消しの憂き目にあっています。
こうしてみると、確かに昨年よりも新規学卒者の内定取消しは5倍になっていますが、リーマンショックによって大きく落ち込んだ2009年3月卒業と比較すると1割未満です。
だから大したことない、と言いたいのではありません。
私が言いたいのは、マスコミが意識的に不安を煽っているので、自分自身でしっかりと事実を確認しなければいけない、ということです。
そうしなければ、冷静に落ち着いて考えることができません。
自分自身でしっかりと冷静に考えて、相性の良い企業を探すことができれば、きっと満足のいく人生になります。