2018(平成30)年6月16日の日本経済新聞朝刊に、「浮上する「70歳定年制」」という記事が掲載されました。
記事によると、2018年の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で、政府は、「65歳以上を一律に高齢者と見るのは、もはや現実的ではない」という一文を入れ、高齢者を活用し人手不足を補おうとしているようです。
以前のブログでロックフィールドが定年年齢を65歳に引き上げることを取り上げました。
厚生労働省の発表によると、65歳以上の定年もしくは定年を廃止している企業は19.7%であることも書きました。
つまり、5社のうち4社の定年は65歳未満ということです。
そのような状況で、政府はどのようにして定年年齢引き上げを促していくのでしょうか?
年金を受け取れる年齢が引上げられる?
2018(平成30)年5月31日の日本経済新聞朝刊の経済教室に、「年金を高齢雇用促進型に」というコラムが掲載されていました。
このコラムでは、2013(平成25)年に厚生年金の報酬比例部分が60歳から61歳に引き上げられた1953(昭和28)年度~1954(昭和29)年度に生まれた人と、60歳から支給された最後の世代である1951(昭和26)年度~1952(昭和27)年度に生まれた人とを比較しています。
1951(昭和26)年度~1952(昭和27)年度に生まれた人は、59歳時点で正規・非正規をあわせて60.4%が企業で働き、23.5%が無職でした。それが60歳になると、正規・非正規をあわせて企業で働いている人が45.7%、無職になった人が39.5%でした。年金の受け取り開始にあわせて無職になられた人が多かったようです。
61歳から年金を受け取ることになった1953(昭和28)年度~1954(昭和29)年度に生まれた人は、59歳時点で20.0%が無職でした。それが60歳になっても、無職は21.0%と増えなかったようです。年金がもらえないこともあり、継続して働き続ける人が多かったと考えられます。
現在は徐々に年金の受け取り開始が65歳へと引き上げられています。
政府が70歳定年を目指すならば、年金の受け取り開始を70歳まで引き上げる可能性はかなり高いと考えられます。
働き方は多様化する!?
2018(平成30)年5月31日の日本経済新聞朝刊に、「「朝だけ」「夜だけ」勤務OK」という記事が掲載されました。
読んでみると、JR東日本が、運転手や車掌が朝の通勤ラッシュだけを短時間勤務できる制度に改める、またヤマト運輸は、宅配便の再配達が多い夜だけ働く社員を確保する、と書かれています。
このような短時間勤務であれば、希望すれば70歳、あるいは生涯現役として働くことは可能でしょう。
多様な働き方によって人材を確保できるような仕組みや環境を整えることが、企業としての競争力の維持・向上にも役立つはずです。
まさに企業と働きたい人とが、Win-Winの関係になれるのです。