2018(平成30)年5月8日付日本経済新聞朝刊のCOMEMOの論点というコラムに「新入社員、何年会社に」という記事が掲載されていました。
COMEMOとは、「ビジネスの第一線で活躍する人たちが、日々のニュースや書籍、交流で得た気づきや考えを投稿」し、その投稿をとおして、ビズネスパーソンが新たな視点や気づきを得ることができるように、日本経済新聞社が立ち上げたプラットフォームとのことです。
そのCOMEMOを通じて、ビジネスパーソンに「今年の新入社員が何年くらいこの会社で働いてくれそうか」、意見を募った結果が公表されました。
意見募集の選択肢と回答比率は以下のとおりです。
- 3年以内 52%
- 10年程度 27%
- 定年まで 14%
- 20~30年程度 7%
3年以内に辞めると思っている人が半数を超えていたようです。
それでは、実際、どれくらいの人が、3年以内に離職しているのでしょうか?
3年以内に辞める人は、七五三?
2017(平成29)年9月15日に厚生労働省が、新規学卒就業者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)を公表しています。
それによると、2014(平成26)年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は
- 中学卒:67.7%
- 高校卒:40.8%
- 大学卒:32.2%
でした。
一般的によく言われる、七五三(中学卒7割、高校卒5割、大学卒3割が就職後3年以内に離職すること)に近い離職率(高校卒は少し離れていますが)でした。
ところで、3年以内に離職する人は、よく言われるように増えているのでしょうか?
3年以内の離職率は大きくは変わっていない!
平成元年3月から平成26年3月卒業までの新規学卒者の学歴別就職後3年以内離職率を5年ごとに見てみましょう。
卒業年月 | 中学卒 | 高校卒 | 大学卒 |
---|---|---|---|
平成元年3月 | 65.7% | 47.2% | 27.6% |
平成6年3月 | 67.6% | 43.2% | 27.9% |
平成11年3月 | 68.5% | 48.3% | 34.3% |
平成16年3月 | 69.7% | 49.5% | 36.6% |
平成21年3月 | 64.2% | 35.7% | 28.8% |
平成26年3月 | 67.7% | 40.8% | 32.2% |
表にはない年も含めて、平成元年から平成26年3月卒業までの26年間の学歴別3年以内離職率の最高と最低は、
- 中学卒:最高 73.0%(平成12年3月卒) 最低 62.1%(平成22年3月卒)
- 高校卒:最高 50.3%(平成12年3月卒) 最低 35.7%(平成21年3月卒)
- 大学卒:最高 36.6%(平成16年3月卒) 最低 23.7%(平成4年3月卒)
になっています。
平成になってから、
- 中学卒:67.55% ± 5.45%
- 高校卒:43.0% ± 7.3%
- 大学卒:30.15% ± 6.45%
なのです。
この数字を見る限り、ここ数年で就職後3年以内に離職する人が、特に増えているわけではなさそうです。
新聞の報道やネットニュースを見ていると、3年以内の離職が大きく取り上げられることがありますが、実態はそれほど変わっていないということです。
周りの風聞に流されず、しっかりとデータ等によって、自分で調べることが大切なのです。
そして、自分で考え判断して行動しなければなりません。
その結果として、定年まで同じ会社で働くのもよし、転職するのもよし、どちらもあり得るのです。
いずれにしても、自分の意志で前を向いて進むことが大切です。
そのために、目はまっすぐ前を見えるようについているのです。