2018(平成30)年4月10日から4月13日までの4日間、日本経済新聞朝刊で「副業という働き方」というコラムが連載されました。
ここ数年、働き方改革としての取り組みの中でも、副業はよく話題になるテーマと言えるのではないでしょうか。
副業には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
政府は、2017年3月に「働き方改革実行計画」を発表しています。
その中には、下記の11プランが掲げられています。
- 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
- 賃金引上げと労働生産性向上
- 罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- 女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
- 病気の治療と仕事の成立
- 子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労
- 雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援
- 誰にでもチャンスのある教育環境の整備
- 高齢者の就業促進
- 外国人人材の受入れ
上記の「4.柔軟な働き方がしやすい環境整備」の方針に従い、厚生労働省が2018(平成30)年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しています。
「働き方改革実行計画」や「ガイドライン」によると、副業・兼業のメリットとして、
- オープンイノベーションや起業の手段として有効(社会全体)
- 都市部の人材を地方で活かし地方創生に資する(社会全体)
- 労働者による主体的なキャリア形成
- 本業の所得を活かした自己実現追求
- 所得の増加
が、あげられています。
これらのメリットを強調し、兼業・副業を推進しようとしているのが政府の立場です。
その一方で、経営者で構成する一般社団法人 日本経済団体連合会は積極的に推奨していくことには抵抗感がある、という立場を表明しています。
なぜ、反対の立場をとっているのでしょうか?
副業・兼業で、何が懸念されるのでしょうか?
毎年、いわゆる春闘の時期に、一般社団法人 日本経済団体連合会は『経営労働政策特別委員会報告』を公表しています。
その中に懸念事項として、
- 社員の総労働時間が把握できない
- 社員の健康配慮が行き届かない
- 社員の安全管理が行き届かない
- 疲労による社員の業務効率の低下
- 会社に対するロイヤリティの低下
- 本業との競合
- 情報漏洩
- 人材流出
- 企業の信頼低下(風評被害など)
- 社会保険の事務手続きの煩雑化
が列挙されています。
つまり、具体的な管理方法や責任の所在等が不明確なため、経営者(使用者)としてのリスクが解消されていないので、副業・兼業を推進することはできない、と主張しているのです。
上記のとおり、政府と経営者(使用者)との考え方には、まだまだ大きな乖離があります。
労働基準法等の労働に関する法律、労働時間等の管理方法、労働災害が発生した場合の責任の所在、社会保険の手続き、等々、まだまだ副業・兼業に対応できていないのは事実です。
そのような状況で、あなたは副業を行いますか?