2023(令和5)年8月31日、大手百貨店「そごう・西武」売却後の雇用のあり方をはじめとした労働条件の建設的な協議を求めて、そごう・西武労働組合はストライキに踏み切りました。
大手百貨店のストライキは1962年の阪神百貨店以来の61年ぶりだといいます。規模も大きく、会社見解も含めてニュースにも大々的に取り上げられました。
ところで、ストライキを含む労働争議は1年間でどれくらい起こっているのでしょうか?
厚生労働省が2023(令和5)年8月23日に、令和4年「労働争議統計調査」結果を公表しています。
ストライキ、ロックアウト、サボタージュは争議行為
「労働争議統計調査」の対象となるすべての労働争議を総争議数といい、これを大別して争議行為を伴う争議と争議行為を伴わない争議(解決のため労働委員会等第三者が関与したもの)とに分けられています。
争議行為には、主にストライキ、ロックアウト、サボタージュがあります。
ストライキは、自己の主張を貫徹するために労働組合又は労働者の団体によってなされる一時的作業停止のことをいいます。
ロックアウトは、逆に使用者側が争議手段として生産活動の停止を宣言し、作業を停止するものをいいます。
サボタージュは、労働組合又は労働者の団体が自己の主張を貫徹するために、作業を継続しながらも、作業を量的質的に低下させるものをいいます。
総争議数は過去2番目に低いものの、争議行為を伴う争議は前年より増加
2022(令和4)年1月から12月までの1年間の総争議数は270件、前年より27件(9.1%)減少し、過去2番目に低く、減少傾向にあります。
その一方で、争議行為を伴う争議の件数は65件、前年に比べ10件(18.2%)増加しています。60件を超えるのは2017(平成29)年の68件以来、5年ぶりとなりました。
なお、労働争議の主要要求事項別(複数回答。主要要求事項を2つまで集計)をみると、やはり「賃金」に関する事項が139件、総争議件数の51.5%と半数を超え、最も多くなっています。
以前のブログで、正社員が期待する働き方改革の施策は「賃上げ」であることを取り上げました。働く人にとって、賃金引上げは切実な問題であることがよくわかります。
労働争議が解決したのは76.3%
2022(令和4)年1月から12月までの間に起った労働争議270件のうち、解決又は解決扱いになった件数は206件、総争議件数の76.3%でした。争議件数の4件のうち1件が翌年への繰越になったようです。
当事者だけでは紛争解決が難しいこともありますが、相手の立場に立って、相手の考えを納得は出来ないにしても、理解をしようとすることが解決の第一歩になるでしょう。