女性活躍推進法によって、女性の活躍に関する情報公開が義務付けられているのをご存じですか?
2022(令和4)年7月8日に厚生労働省令改正が施行され、労働者301人以上の企業は男女の賃金格差を必ず情報公開しなければならなくなりました。
有価証券報告書で確認したところ……
2023(令和5)年3月期決算の2,456社のうち、有価証券報告書に「正規雇用の男女賃金差異」を記載している1,677社の賃金差異の平均は71.7%だったそうです。女性正社員の方が男性正社員よりも28.3%、約3割も低いということになります。
賃金差異は、最多が「70.0%以上75.0%未満」で構成比は23.5%という結果でしたので、4社のうち1社が70.0%以上75.0%未満ということになります。
次いで、「75.0%以上80.0%未満」が構成比21.8%、「65.0%以上70.0%未満」が同18.3%と続いています。全体の6割を超える企業の男女賃金差異が「65.0%以上80.0%未満」となっています。
なお、男女賃金差異は、女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100%で算出しています。数値が100.0%に近いほど賃金差は小さく、100.0%を超えると女性正社員の方が男性正社員より賃金が多いということになります。
女性正社員の賃金が男性正社員を上回ったのは6社あったようです。最も男女賃金差異の数字が大きかったのが、JBCCホールディングスの118.2%で、女性正社員の賃金が男性正社員を2割近くも上回っています。
産業別に男女賃金格差を見てみると……
賃金差異が小さい産業は、
- 運輸・情報通信業 75.0%
- サービス業 74.4%
- 小売業 74.2%
でした。
逆に賃金差異が大きい産業は、
- 金融・保険業 63.6%
- 建設業 65.3%
- 水産・農林・鉱業 65.5%
でした。
賃金差異が小さい産業で、女性正社員の賃金は男性よりも25%程度低く、賃金差異が大きい産業では35%程度低いということになります。
かつての男性は総合職、女性は一般職というコース管理の名残がまだあるのかもしれませんが、いつまでも過去の遺物を引きずるわけにはいきません。情報公開を機に、女性の賃金引き上げに取り組んでいかなければなりません。