2023(令和5)年8月4日に、民間主要企業の春季賃上げ額・率の集計結果を、厚生労働省が公表しています。
調査集計対象は、資本金10億円上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業364社でした。いわゆる大手企業の集計結果と言えます。
30年ぶりの高い賃上げ!!
厚生労働省の調査結果によると、賃上げ平均額は11,245円で、前年(6,898円)に比べると4,347円増、コロナ禍前の2019(令和元)年(6,790円)に比べても4,455円の増加となっています。
賃上げ額が10,000円を超えるのは、1993(平成5)年の11,077円以来、ちょうど30年ぶりとなります。
※2003(平成15)年以前の対象企業は、東証または大証1部上場企業のうち資本金20億円以 上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業でした。
1993(平成5)年といえば、バブル崩壊直後。まだバブルの楽観的な明るさが残っている時代。それ以来の高い賃上げ額だったのです。
賃上げ率に目を移すと、2023(令和5)年の3.60%は、1994(平成6)年の3.13%以来の3%を超える高い賃上げ率となります。
2023(令和5)年は、バブル期以来の高い賃上げ額、賃上げ率だったのです。
経団連の集計結果は?
同じく2023(令和5)年8月4日には、経団連も大手企業の春季賃上げの調査集計結果を公表しています。
経団連の調査は、原則として従業員500人以上、主要対象業種大手241社を対象に行われ、集計したものです。
経団連の集計によると、2023(令和5)年の賃上げ額は13,362円、前年(7,562円)に比べると、5,800円増えています。
賃上げ率を見てみると、2023(令和5)年は3.99%、前年(2.27%)に比べると、1.72ポイント増えています。
厚生労働省の集計結果を賃上げ額、賃上げ率ともに上回っています。
中小企業の賃上げは?
2023(令和5)年6月23日に経団連が中小企業の2023(令和5)年の賃上げ額、賃上げ率を調査集計した結果を公表しています。
調査対象は、従業員数500人未満の754社だったようです。
経団連は日本を代表する大企業を中心した組織ということもあり、中小企業を対象とした調査としては物足りなさを感じます。
調査結果によると、2023(令和5)年の賃上げ額は7,864円、前年(5,219円)に比べると、2,645円増えています。
賃上げ率を見てみると、2023(令和5)年は2.94%、前年(1.97%)に比べると、0.97ポイント増えています。
前年よりも高い賃上げ額、賃上げ率ですが、やはり大手企業と比べると、かなり見劣りします。
大手企業よりも中小企業で働く人が多いことを踏まえると、中小企業が十分な賃上げが出来るような環境づくりが求められています。