外国人技能実習制度は広がっていくのでしょうか?

以前のブログで、外国人技能実習制度の概略を取り上げました。

また、政府の方針として、新たに50万人の外国人を受入れようとしています。

政府の方針である人材開国の問題点についても、取り上げました。

今回は、あらためて外国人技能実習制度について、取り上げます。

技能実習生は27万人以上!

法務省が在留外国人統計を発表しています。

その統計によると、2017(平成29)年末で日本にいる実習生は27万4千人で前年より20%、過去5年間で約2倍にも増えたといいます。

さらに2018(平成30)年9月より、対象職種に漬物製造とホテルなどの寝具類を貸し出すリネンサプライが加わります。その結果、対象職種が79職種になります。

職種が増えますから、さらに技能実習生が増えることが予測されます。

技能実習生がこんなに急激に増えても特に問題は起こらないのでしょうか?

失踪した技能実習生は 7,000人!

2017(平成29)年には、受け入れ先企業とトラブルになり、姿を消す失踪者が 7,000人を超えてしまいました。

福島県郡山市には、様々な事情で実習先から非難した技能実習生を受け入れている施設があります。その施設に駆け込んだ理由として、長時間労働、強制帰国の恐怖、上司や同僚からの暴力があるといいます。

このような理由を聞くと、受け入れ先企業にいろいろと問題がありそうです。

受け入れ先企業の70%が法令違反!

2018(平成30)年6月20日に、厚生労働省は、2017(平成29)年に技能実習生の受け入れ先企業に対して行った監督指導や送検等の状況をまとめ、公表しています。

監督指導した 5,966事業場のうち、4,226事業場で労働基準関係法令違反が認められたといいます。なんと割合にすると 70.8%の事業場で違反があったことになります。

違反事項の上位3位は、

  1. 労働時間     1,566事業場(26.2%)
  2. 安全基準     1,176事業場(19.7%)
  3. 割増賃金の支払   945事業場(15.8%)

に、なります。

また、技能実習生から労働基準監督機関に対して労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告は 89件あったようです。

圧倒的に多かったのが、賃金・割増賃金の不払で、81件もあったといいます。

受け入れ先企業が、このように法令違反をしている状況で、技能実習生が増えると、ますます失踪者等の問題が増大してしまうのではないでしょうか?

安易な受け入れは、不幸になります!

技能実習生は、受け入れ先企業を変更することはできません。

また、技能実習生として日本に来るために、100万円以上の費用を負担していますので、少なくとも日本で働いて、それまでにかけた費用以上は稼ごうとします。

そのため、受け入れ先企業に対して、技能実習生は非常に弱い立場になります。

受け入れ先企業が法令違反をしていても、泣き寝入りしている技能実習生は、かなり多いと思われます。

また、技能実習生は最低賃金もしくは、最低賃金を少し上回る給与で働いている人が多いです。

低賃金で働く技能実習生が増えると、国内低所得者と競合してしまい、日本国内の所得格差を拡大することにもつながります。

技能実習制度の原点に立ち戻ろう!

技能実習制度のそもそもの目的は、以前のブログで書きましたとおり、

我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること

です。

もう一度、政府、受け入れ先企業、外国人技能実習生を斡旋している組合、そして一人ひとりの日本人が、それぞれの立場から原点に立ち戻って、あらためて、外国人技能実習制度について、考えなければなりません。

安易に技能実習生を増やすのではなく、より良い制度になるように改善していかなければなりません。

それが、より多くの人が幸せになるための道なのです。

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