みなさんは、所得倍増と聞くと、何を思い浮かべますか?
所得が倍になったらいいな、という漠然としたあこがれでしょうか?
それとも、そんなのは無理、というあきらめでしょうか?
もしかしたら、1960(昭和35)年12月に池田隼人内閣によって決定された長期経済計画でしょうか?
倍増までなるかどうかはわかりませんが、今よりは所得が増えてもおかしくないな、と思わせてくれる本があります。
それが、デービッド・アトキンソン氏が書かれた『新・所得倍増論ー潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』(東洋経済新報社)です。
現実を直視することから始まります!
数年前まで、日本は世界第2位の経済大国といわれていました。なぜ、このような経済大国になれたのでしょうか?
一般的には、「技術力が他の先進国よりも優れているから」とか、「日本人は真面目にコツコツと働くから」と言われているような気がします。あるいは、「優れた潜在能力を十分に発揮したから」と思っている人もいるかもしれません。
しかしこれらの理由には科学的根拠がないと著者であるデービッド・アトキンソン氏は述べられています。
そして、日本が経済大国になれたのは、他の先進国と比較して、相対的に人口が多かったからと主張されます。
経済規模は、一人あたりの生産性×人口で求められます。1人あたりの生産性が低くても、人口が多ければ経済規模は大きくなるのです。
そこで、日本の1人あたりの生産性をみると、世界で第27位(IMFデータ生産性ランキング)と決して高くありません。
ということは、日本の経済規模を支えているのは人口の多さだといえるのかもしれません。
今までの思いが否定されますので受け入れがたいかもしれませんが、事実は事実として受け止めなければなりません。
あなたは、受け入れられますか?
日本が経済大国になれた理由以外にも、おそらく日本人が気づいていない事実もあげられています。
- 日本の人口はドイツの1.57倍なのに、輸出額は48.3%、1人あたりの輸出額は3分の1
- 研究開発費の総額は世界第3位だが、1人あたりでみると世界第10位
- ノーベル賞受賞者の延べ人数は世界第6位だが、人口1,000万人あたりでは世界第39位
- オリンピック夏季大会のメダル数は第11位、でも1メダルあたりの人口は第50位
経済規模だけではなく、1人当たりでみると、思っていたイメージとは違う日本が見えてくるのではないでしょうか。
日本人の潜在能力にふさわしい?
1人当たりの生産性や輸出額が他の先進国と比べて見劣りするということは、逆に考えると、まだまだ日本人の潜在能力が発揮されておらず、成長できる可能性が大きいということです。
そして、潜在能力を発揮し、1人あたりの生産性が他の先進国と同じになったときには、所得が倍になってもおかしくない、というのが著者の主張です。
さあ、みなさんの潜在能力はまだまだ発揮できます。
潜在能力を十二分に発揮することができれば、もっと幸せになれるはずです。