2018(平成30)年3月19日付の日本経済新聞朝刊に「外国人実習生 現場の戦力に」という記事が掲載されていました。
記事によると
- ソラスト:ベトナム人15人を受け入れ、グループルームや有料老人ホームに配置(予定)
- ツクイ:ベトナム人10人を受け入れ、有料老人ホームで働いてもらう(予定)
- オートバックセブン:5年以内に現在の3倍の300人に増やす
- カーコンビニ倶楽部:3年後には累計500人規模に増やす
- 東急ストア:35人が店内の厨房で惣菜の調理
- サミット:16年度 7人、17年度 48人、18年度 81人受入
と書かれており、様々な企業が外国人技能実習生を積極的に受け入れているようです。
ところで、外国人技能実習生とはどのような制度なのでしょうか?
外国人技能実習制度の概要
外国人技能実習制度は、1993年に制度化されました。
原型は、1960年代後半頃から海外の現地法人で働いている外国人の社員教育として行われていた研修制度といわれています。
厚生労働省のHPによると、技能実習制度の目的は、
我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること
と明記されています。
技能実習制度の主な内容は、
- 日本における企業や個人事業主等の実習を実施する者が外国人の技能実習生を雇用する
- 出身国において習得が困難な技能、技術又は知識の習得、習熟、熟達をはかる
- 期間は最長5年
- 技能実習計画に基づき実施
ということになります。
また、技能実習には、
第1号技能実習:入国後1年目の技能等を習得する活動
第2号技能実習:入国後2、3年目の技能等に習熟するための活動
第3号技能実習:入国後4、5年目の技能等に熟達する活動
の3区分があります。
入国後1年経過し第1号技能実習から、第2号技能実習や第3号技能実習に移行できる職種や作業は省令で定められています。
それでは、どのような職種や作業が第2号技能実習や第3号技能実習に移行できるのでしょうか。
認められているのは 77職種139作業
平成29年12月6日時点で、厚生労働省により、技能実習2号移行対象職種として 77職種 139作業が認められています。
逆にいうと、この技能実習2号移行対象職種にない職種や作業については、第2号に移行できないため、入国から1年で帰国せざるを得なくなります。
技能実習制度の問題点
2018(平成30)年2月1日付の日本経済新聞朝刊に技能実習生の失踪者が2017年度は上半期としては過去最高を記録したという記事がありました。
失踪する一つの理由として、技能実習2号に移行できなくなることが考えられます。もっと日本で働いて稼ぐために失踪する外国人もいるのです。
技能実習2号に移行できる職種が限定されていることは、失踪者が増大していることの原因のひとつです。
もう一つの問題点として、日本人が採用できない、日本人の賃金が高いという理由で、安い労働力として、外国人技能実習生を活用している企業があるということです。
基本理念として、技能実習法第3条第2項には、
技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない
と記されています。
もう一度、理念に立ち戻って、お互いを尊重し合う、協働できる仕組みづくりを国も企業も進め、正しい制度運用をしなければなりません。