2023(令和5)年7月28日に、令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について、厚生労働省が公表しています。
厚生労働省が公表した目安どおりに、各都道府県が引き上げを行った場合、全国加重平均は1,002円となり、初めて政府が目指していた1,000円を超えることになります。
この場合、全国加重平均の上昇額は41円となり、昨年度の31円を上回り、1978(昭和53)年に目安制度が始まって以降で最高額となるそうです。
引き上げ率に換算すると4.3%となり、昨年度の3.3%を1ポイント上回ることになります。
大阪と兵庫は41円引き上げを回答!
目安を受けて、各都道府県で審議・決定することになるのですが、大阪府では1,064円、兵庫県は1,001円、ともに前年度と比べ41円の引き上げを答申しています。
昨年度に引き続き、関西においても最低賃金は大幅に引き上げられそうです。
よく飲食提供店舗やスーパー等で求人募集をされていますが、私が住んでいる兵庫県でも1,000円を下回る時給の募集も少なくありませんが、10月以降は1,000円を下回る募集は出来なくなりそうです。
多くの中小企業で対応が求められます!
多くの中小企業が中心となって活動されている日本商工会議所が2023(令和5)年3月28日に公表した調査結果があります。
中小企業6,013社を対象とし、3,308社の回答(回答率55.0%)を取りまとめています。
その調査によると、2023年度に最低賃金を引き上げるべきだと回答した企業は42.4%、引き下げるべきもしくは現状維持とすべきと答えた企業は合わせて33.7%でした。引き上げざるを得ないと考えていた企業の方が多かったようです。
引き上げるべきとした理由として、「物価が上がっており、引き上げはやむを得ないから」と89.3%の企業が回答しています。利益が確保できるから還元するというのではなさそうです。
求人の3分の1は賃上げが必要?
前述したとおり、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会は、前年度より41円引き上げた全国加重平均最低賃金を時給1,002円とする目安を決定しました。
2023(令和5)年8月11日付の日本経済新聞朝刊によると、その目安に沿って各都道府県が最低賃金を引き上げると求人の3分の1が賃上げが必要になるそうです。
最低賃金を下回る求人の割合は神奈川、愛知、大阪といった大都市では4割を超えるといいます。かなり多くの企業に影響を与えそうです。
前述の日本商工会議所の調査によると、最低賃金額引き上げの影響や対応として、「製品・サービス価格の引き上げ」と回答した企業が31.6%で最多、「設備投資の抑制等、人件費以外の削減」が26.5%で続いています。
コスト削減だけではいずれ行き詰まりますから、価格引き上げは避けられないと思われます。
物価が上がらない時代から、物価が上がる時代へと、時代の転換期を迎えているのではないでしょうか。