以前のブログで、政府が進める働き方改革を取り上げました。特に残業時間の上限を法律で定めたことを書かせてもらいました。
それでは、実際に働き方改革は進んでいるのでしょうか?
株式会社NTTデータ経営研究所が2018(平成30)年6月に実施したアンケート調査がありますので、ご紹介します。
調査の概要は?
調査の概要は、以下のとおりです。
- 調査対象:NTTコムリサーチ クローズド調査
- 調査方法:非公開型インターネットアンケート
- 調査期間:2018(平成30)年6月20日~6月25日
- 有効回答者数:1,100人
なお、NTTコムリサーチは、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスとのことです。
「働き方改革」に取り組む企業は?
2018(平成30)年度調査では、「働き方改革」へ取り組んでいる企業の割合は以下のとおりです。
- 取り組んでいる 38.9%
- 取り組んでいない 43.3%
- わからない 17.8%
「働き方改革」に取り組んでいる企業が40%弱というのは、テレビや新聞の報道量から考えると、かなり低いと思いました。
それでも、過去のアンケートの結果では、「働き方改革」に取り組んでいる企業の割合は、
- 2015(平成27)年 22.2%
- 2016(平成28)年 32.1%
- 2017(平成29)年 36.4%
ですので、少しずつではありますが、「働き方改革」に取り組む企業は増えてきているようです。
規模別で見てみると?
次に、企業の規模別で見てみましょう。
まず、従業員が 1,000人以上の企業で「働き方改革」に取り組んでいる企業の割合は、以下のとおり、
- 取り組んでいる 62.3%
- 取り組んでいない 20.0%
- わからない 17.7%
でした。
それに対し、従業員 100人未満では、
- 取り組んでいる 17.2%
- 取り組んでいない 65.1%
- わからない 17.7%
でした。
企業規模が小さいと、「働き方改革」どころではない、というのが従業員の本音ということでしょうか?
それでは、「働き方改革」を進めるとどのような変化があるのでしょうか?
「働き方改革」による変化は?
プラスの変化として、
- 労働時間が減少している 34.3%
- 休暇が取得しやすくなっている 32.0%
- 気持ちに余裕が生まれている 24.5%
が、上位3位までに挙げられています。
逆に、マイナスの変化としては、
- 収入が減少している 22.9%
- 気持ちの余裕がなくなっている 18.5%
- 「やらされ感」が増加している 15.0%
が、上位3位までに挙げられています。
日本の企業の課題が見事に表れています。
賃金の中に占める残業手当の比率が高すぎるのです。
もっというと、残業手当を支給することを前提に、それ以外の基本給や様々な手当の水準を決めているのです。
これは、雇用を守るための一つの方法とよくいわれます。
残業手当によって雇用を守るとは?
好景気で忙しくなれば、残業時間を増やすことによって対応する。逆に不景気になれば、残業時間を減らすことによって調整し、雇用を守りながら好景気になるのを待つ、というのが今までの考え方なのです。
「働き方改革」は、この今までの考え方、つまり価値観をひっくり返すことなのです。
そのため、なかなか広がらないのです。
「働き方改革」が進めば、価値観が変わります。
強いものが生き残るのではなく、変化に対応できるものが生き残るのです。
ぜひ、みなさんは前向きに、この変化を受け止めましょう。
対応することができれば、きっと幸福感は上がります!