新たに外国人50万人を受け入れ?

2018(平成30)年6月6日の日本経済新聞朝刊に、「外国人就労 拡大を表明」という記事が掲載されました。

記事によると、経済財政諮問会議で安倍晋三首相が、「人手不足が深刻な建設や農業、介護など5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設ける。原則認めていなかった単純労働に門戸を開き、2025年までに50万人超の就業を目指す」と表明したとあります。

在留外国人を2割以上増やす?

働いていない人も含めた在留外国人数については、法務省が発表しています。

それによると、2017(平成29)年末の在留外国人数は約256万人とのことです。

新たな在留資格によって、50万人超の外国人を受け入れるということは、単純に計算すると、20%増やそう、ということのように見えます。

以前のブログで在留資格の詳細を書きました。

そのブログでは、厚生労働省が発表している外国人の労働者数を取り上げました。

厚生労働省の発表資料によると、2017(平成29)年10月末時点の外国人労働者数は約128万人でした。2ヵ月ほど日付がずれていますが、在留外国人の約5割が働いているようです。

今回の新しい資格では、就業する外国人を50万人超増やそう、というのですから、2017(平成29)年の外国人労働者数を基準にすると40%もの大幅な増加を目指すことになります。

これほどまでに急激に外国人労働者を増やしても問題は発生しないのでしょうか?

日本より先に受け入れてきた国々の現状は?

以前のブログで、デービッド・アトキンソン氏が書かれた『新・所得倍増論ー潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』(東洋経済新報社)を取り上げました。

その著作の中で、移民政策の課題も取り上げられていました。

今回の安倍首相は、「建設、農業、宿泊、介護、造船」の5業種で新しい資格をつくり、受入れを考えているようです。

それに対して、デービッド・アトキンソン氏は「後々大きな社会問題を引き起こす可能性」があると指摘されています。

その前例として、イギリスやフランスがビルの清掃やゴミ収集といった比較的単純な作業のために外国人を受け入れてきたが、それらの人が地域で孤立し、社会問題を引き起こしていることをあげられています。

そのため今では、高学歴者を中心に受け入れているというのです。

日本でも同じような問題に直面する可能性は高いのではないでしょうか?

日本の埋もれた人材を活かすことも!

以前のブログで、未活用労働を取り上げました。

現在の日本に失業者は 184万人、その中で完全失業者は 169万人おられます。

企業が人を求めている仕事内容や働く条件と、仕事を探している求職者の希望とが合わない、いわゆるミスマッチが、失業の理由だとは思われます。

であるならば、優先順位としては、外国人労働者の受入れよりも、そのミスマッチを解消するための施策を実施することではないでしょうか。

簡単にできるのであれば、もう実施されているでしょう。難しいことはわかります。

それでも、まずはミスマッチ解消に知恵を絞り、行動するべきです。

より多くの人が幸せになれるように。

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