2018(平成30)年4月12日の日本経済新聞朝刊に「外国人 実習後に就労資格」という記事が掲載されていました。
外国人技能実習制度については、様々な企業で取り入れられていると、以前のブログで書きましたが、政府としてはさらに外国人労働者を増やそうとしているようです。
在留資格を知っていますか?
外国人が日本で働くには、一定の条件を満たさなければなりません。在留資格によって、いろいろな制約を受けることになります。
厚生労働省によると、2017(平成29)年10月末時点の主な在留資格別の外国人労働者数は以下のようになっています。
- 身分に基づく在留資格 459,132人(構成比 35.9%)
- 資格外活動 297,012人(構成比 23.2%)
- 技能実習 257,788人(構成比 20.2%)
- 専門的・技術的分野の在留資格 238,412人(構成比 18.6%)
- 特定活動 26,270人(構成比 2.1%)
なお、身分に基づく在留資格には、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者が該当します。
資格外活動は、主に日本の大学や日本語学校への留学生のアルバイトが該当します。
専門的・技術的分野の在留資格は、いわゆる就労Visaを取得して、日本で働いている外国人労働者のことです。日本で働く職種に応じた、「技術・人文知識・国際業務」、「法律・会計業務」、「経営・管理」等の就労Visaを取得しなければなりません。
特定活動は、外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護士、介護福祉士候補者等が該当します。
上記のとおり、在留資格別にみてみると、「資格外活動」と「技能実習」をあわせて、約128万人の外国人労働者の43.4%を占めています。
なぜ、これほどまでに割合が高いのでしょうか?
資格外活動と技能実習の位置づけは?
「資格外活動」で働く場合、本来の在留目的を妨げない範囲でのアルバイトとしての勤務になります。在留カードの裏面をみると、「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載されています。週28時間以内であれば、風俗営業等の一部の仕事を除けば、働けるということになります。
技能実習は、あくまで発展途上国への技術協力という目的にそった職種に勤務することになります。ただし、その職種は増え続け、本当に技術協力につながる職種なのか、明確な線引きは難しいのが現状です。
今の日本では、高度な知識や技能を必要としないと判断される、いわゆる単純労働を目的とした外国人の就労を認めていません。
ところが、「資格外活動」や「技能実習」については、上記のとおり曖昧なところがあります。そのために、単純労働の受け皿として使われているといわれています。
単純労働を認めない一方で、技能実習の対象職種を拡大することによって単純労働に従事する外国人労働者が増えてしまうという、大きな矛盾を抱えているのです。
上記は一つの例ですが、もし政府が外国人労働者を増やそうとするならば、在留資格を含めて見直さなければならい課題は山積みであるといえるでしょう。