2018(平成30)年3月13日付日経新聞朝刊に「崩れる新卒採用ルール」という記事が掲載されていました。
学生、親御さん、企業の担当者等々、「また、変わるの?」と思われた人は多かったのではないでしょうか。
新卒採用について、その対策も含めて考えるうえで、私が自信を持ってお勧めする1冊があります。
それは、佐藤留美さんが書かれた『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)です。2014年1月に出版されていますので、少し状況が異なっているところもありますが、ぜひ読んでいただきたいです。
日本の若者は世界基準でみると勝ち組!?
OECD(経済協力開発機構)の『世界の若者と雇用』レポートの中で勝ち組を「学校を離れた5年の期間で70%以上が雇用に就いており、学校を離れてから就職先を見つけるまでに、かかった期間が6ヵ月未満だったもの」と定義しています。
この基準でいくと、日本の若者は勝ち組と言えるのではないでしょうか。
この現象を生み出しているのが、新卒一括採用という日本独自の仕組みなのです。
なぜ、日本では新卒一括採用が定着したのでしょうか?
新卒一括採用が定着した理由は?
著者である佐藤さんは、新卒一括採用は、企業と就活生、大学がWin-Win-Winの関係になるからこそ、日本で定着したと述べられています。
企業にとってのメリットとして、
- 採用を含めた年間スケジュールが組みやすい
- 採用1人当たりのコストが低い
- 研修や教育がまとめてやりやすい
- 年次管理を行える
等、あげられています。
就活生にとってのメリットとしては、何といっても、就業経験や専門知識もなく就職できることをあげられています。
欧米では欠員補充の意味もあり、経験や専門知識が問われます。そのために、なかなか卒業後の最初の仕事に就くことが難しく、失業してしまう若者が多くなってしまうのです。
それでは、大学にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
それは、実務能力の教育や職業トレーニングを企業任せにできることがあげられています。
3者(企業、就活生、大学)それぞれにメリットがあるのですから、新卒一括採用が定着するのも納得いきます。
新卒一括採用のデメリットは?
新卒一括採用のデメリットとして、一般的に
- 卒業する時の景気によって採用人数の変動が大きすぎる
- 新卒で就職できなかった場合、再チャレンジが難しい
- 学業に悪影響がある
といわれています。
結局、新卒一括採用は続くのでしょうか?
新卒一括採用は続けるべき!
外国への留学生、あるいは日本に留学している外国人、外国人の外国での採用、大学での授業や研究に与える影響を考えると、選考期間は柔軟になってくるでしょう。
また採用時期も多様化し、通年採用になるでしょう。転職もさらに増えるでしょう。
それでも、初めての仕事に就きやすく、若者の失業率を抑えられる新卒一括採用という仕組みは続けるべきでしょう。
就活生のみなさんは、世界的にみると就職しやすい環境を十分に活用してください。