以前のブログで、政府が単純労働外国人も認め、新たに50万人の外国人就労を目指していることを取り上げました。
その受け入れの日程が、2018(平成30)年7月25日の日本経済新聞朝刊に掲載された「人材開国へ政策総動員」という記事の中に書かれていました。
外国人労働者の受け入れの日程は?
記事によると、
- 秋の臨時国会:新たな在留資格をつくる入管法改正案を作成・提出
- 秋ごろ :受け入れに向けた基本方針と業種別の方針を閣議決定
- 年内 :外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策を決定
- 2019年4月 :入国管理を担う法務省の組織を改編 新たな在留資格を創設
となっていました。
この単純労働外国人の受け入れという方針自体、唐突に出てきたという印象があります。
それから半年余りという短期間で本当に受け入れ態勢ができるのでしょうか?
少なくとも、もっと時間をかけて熟考するべきです。
このまま受け入れると?
2018(平成30)年7月20日の日本経済新聞朝刊の大機小機に、「外国人労働の法整備を」というコラムが掲載されていました。
現在、考えられているのは、外国人技能実習生として最長5年間、日本で働いた後、新たな在留資格に切り替えることによって、通算で10年間、日本で働けるようにしようという、今ある技能実習の延長のような形です。
このような受入れ方をすると、低賃金分野で受け入れることになり、「国内低所得者の競合を増やして所得格差を拡大」させることになります。
外国人技能実習制度については、以前のブログで、失踪する外国人技能実習生が過去最高を記録している、また、安い労働力として低賃金で受け入れている企業が多い、という問題を指摘しました。
外国人技能実習生を受け入れるために、多くの企業は協同組合等の監理団体を経由します。
私の経験になりますが、協同組合等と打ち合わせをすると、外国人技能実習生の給与については、最低賃金にすることを暗に勧められます。
なぜなら、法的に問題ありませんし、監理団体としては、外国人技能実習生を企業が採用すると様々な手数料が入ってくるので、できるだけ多くの企業に採用してもらいたいからだと思われます。
現状から考えて、外国人技能実習制度の延長で考えると様々な問題が噴出すると思われます。
今の進め方でいいのでしょうか?
このように議論を深めることをせず、なし崩し的に受け入れを拡大してしまうと、「戦後の成長期に受け入れた移民の生活保護受給率や犯罪率の高さが問題になっているドイツなどの二の舞い」になってしまうでしょう。
この問題は、以前のブログで取り上げたデービッド・アトキンソン氏が書かれた『新・所得倍増論ー潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』(東洋経済新報社)にも書かれていました。
実際、今、ヨーロッパの国々は、この問題に直面しているのです。
政府は明らかに、経営者に支持されることを行おうとしています。
しかしながら、これも以前のブログで書きましたが、経営者の立場から考えるだけではなく、労働者の立場からも考えないといけないのです。
いろいろな立場から考えなければなりません。
そうすることが、より多くの人の幸せにつながります。