内閣府のホームページに「防災情報のページ」があります。
災害状況一覧があり、被害状況がまとめられています。
この2018(平成30)年に限っても、現在もまだ多くの方が避難されている「平成30年7月豪雨」、6月18日(月)の午前7時58分という通勤時間帯に発生した「大阪府北部を震源とする地震」等、全部で10災害が掲載されています。
日本に住んでいると、いつ災害にあってもおかしくないのです。
それでは、災害に対して、どのように備えていけばいいのでしょうか。
その疑問に答えてくれるのが、アマンダ・リプリー氏が書かれた『生き残る判断 生き残れない行動ー大災害・テロの生存者たちの証言で判明ー』(岡真知子訳、光文社)です。
人は「パニック」になるのでしょうか?
みなさんは、人は例えば火事のような災害に見舞われたときに、パニックになると思っていませんか?私は、そう思っていたのですが、実は違うそうです。
カナダの国立研究協議会のギレーヌ・プルーは、雑誌「火災予防工学」に掲載された論文で、「火災時における実際の人間の行動は、”パニック”になるという筋書きとは、いくぶん異なっている。一様に見られるのは、のろい反応である」と発表したそうです。
状況を否認してしまって、把握できず、火災から避難しようという行動をしないというのです。
先日、テレビのニュースを見ていると、「平成30年7月豪雨」で浸水しそうになっているのに、避難しようとしない高齢者の方が映っていました。
同じようなことが、アメリカでもあったようです。2005年に大きな被害をだしたハリケーン「カトリーナ」を目前にしても、年配者は避難にひどく消極的だったといいます。
筆者はその理由として、「公式の警告よりも実体験を重んじたからで、それまでも多くの嵐を生き延びてきていた」からと説明しています。
人は、いざという時になると、何をしていいのかわからず、行動できないのです。
どうすれば行動できるようになるのでしょうか?
みなさんは、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件を覚えていますか?
ワールドトレードセンター(WTC)にハイジャックされた飛行機が突入した映像に大変なショックを受けました。
そのWTCの中には、モルガン・スタンレー社の社員も警備員を含めて 2,700人いました。そのうちの2,687人、ほとんどの社員が無事に避難できたのです。
なぜ、こんなに多くの人が無事に避難できたのでしょうか。
あらかじめ何度も繰り返し練習!!
そのキーパーソンは、警備主任であったリック・レスコラです。
リック・レスコラは、勲章を授かったベトナム復員軍人であり、その時の経験から、「極度のストレスの下で脳を働かせる最上の方法は、あらかじめ何度も繰り返して練習をすること」を知っていたのです。
そして、実際に行ったのです。
緊急時にすばやく脱出できるよう、何度も何度も、何年もかけて避難訓練を繰り返したのです。
その結果、9.11では、ほとんどの社員が無事に避難することができたのです。
「適切な事前の計画と準備は、最悪の行動を防ぐ」のです。
この著書には、いろいろな災害からの生存者の証言が集められています。
ぜひ一度、読んでみてください。
災害から生き延びるために、普段からどうすればいいのか、きっとわかるはずです。